September 04, 2007

マイケル・ムーア批判?

今週のマル激トーク・オン・デマンドは、ビデオ・ジャーナリストの神保氏、社会学者宮台氏、ドキュメンタリー作家森達也というおなじみの三人で、マイケル・ムーア監督の新作『シッコ』を肴に対談している。

この三人は、ムーアの前作『華氏911』を「クズ作品」として散々にこきおろしていて、今回の作品もドキュメンタリーとしてはダメというスタンスで話している。

正直言って、最近のマル激は興味がわかないのでまったく見ておらず、久しぶりに見たのだが、あまりの内容に途中で視聴を打ち切った。

どれも重箱の隅をつつくような批判にしか思えず、神保氏に至っては地位も名声も得たムーアに対する単なる嫉妬なんじゃないかと思えるほどの毒舌ぶりだった。この人は、同業者として、ムーア監督を偉そうに批判できるだけの作品を作っているのだろうか? 正直どういう作品を作ってきたのかすらまったく一般には認知されていないんじゃないか。

森達也氏はオウムを取材した10年前の『A』と『A2』が代表作のようになってしまっているが、正直、今となってはこれらはドキュメンタリーとして時代を超えて残る一流の作品とは思えない。このことは論じると長くなるので今は書かないが、その後の作品も含めて、少なくとも、ムーアを批判できるレベルのものではない、と思う。

もちろん、批判は自由だ。リベラルなメディアの世界である種の英雄として祭り上げられているムーア監督にとって、辛辣な批判が必要な時もあるだろう。しかし、この人たちの批判は、その裏にどうもマイナーな同業者による<成功者それ自体>へのやっかみみたいなものが透けて見えて、聞いていて不快になるんだよね。第一、彼らの発言がムーアに届くことは決してないだろうし。

次々と問題作を発表し、アメリカ社会への鋭い問題提起を続けているマイケル・ムーア監督を僕は全面的に支持する。<愛国者法>が支配する今のブッシュ政権下で、身体拘束の危険も感じながらあのような活動を続けている彼の行動力は十分に賞賛に値すると思う。彼がもっとマイナーな存在だったら、とっくに逮捕されているだろう。

日本社会にも、ドキュメンタリーで問題提起すべき素材はいくらでもあるだろうに、ムーアを批判するなら、アメリカに比べればまだピリピリしていないこの社会で、優れた作品を創ってからにしてほしい。その作品そのものが、彼らの嫌うムーア監督に対する、最も説得力のある批判になるだろうから。

September 03, 2007

NHK受信料裁判

弁護側(要するに受信料を払っていない側)の主張が、創のブログに掲載されている。

弁護側の主張

なるほど、憲法上の主張はこういう風に論じるんだなあ、とか、まず憲法論をぶって、次に契約の有効性に入っていくと説得力があるなあ、とか、自然債務ってこういうときに使うんだな、とかいろいろ参考になるところが多い。

今後の裁判の進展にも目が離せない。

NHKは第二弾の督促も考えているそうなので、督促状が来た人は、創のHPに連絡して、この裁判に参加しましょう。

May 16, 2007

NHK、未契約者の訴訟準備着手

これで戦線がまた拡大しそうだ。

しかし、「テレビを買う買わないは視聴者の自由であり、あえてテレビを買ったという点で契約の自由には抵触しない」というのも凄い理屈だな。

「テレビを買ってもNHKを見ない」という選択肢は最初から存在しないものとみなす、ということか。
DVDを見る目的でテレビを買ってもいけないのか。
TVチューナ付きのパソコンはどうなるのか。PCを買ったらNHKとの契約成立?

国民の「知る権利」の侵害という観点からも問題がありそうだ。

スクランブル化が受信料徴収目的を達するための「より制限的でない手段」であることは明白である。

NHKは、「スクランブル化したら、地震や災害などの緊急報道へのアクセスの道が閉ざされる」と主張するが、そういうニュースはスクランブルを外すべきだろう。当然だろうが。

この裁判闘争は盛り上げるべきだと思う。

NHK、未契約者の訴訟準備着手 事業所に文書05/15

 NHKは15日、放送法に定められた受信契約を結んでいない事業所に対し、受信料特別対策センター名で契約締結を求める文書を今週末に送付することを明らかにした。全国に約1000万件といわれる未契約世帯・事業所への民事訴訟に向けた準備が事実上スタートした。

 今回対象となるのは都内23区内の事業所数件。NHKでは「訪問や電話で再三の交渉を持ちかけたものの責任者にも会えず、これ以上の進展が望めない事業所を選んだ。慎重に手続きを進めるために件数を絞った」と説明。文書の送付後も引き続き交渉を進め、一定期間を経過しても進展がない場合は提訴する方針を伝える。それでも相手が応じない場合、契約の締結と受信料の支払いを求めて民事訴訟を起こす。

 NHKでは現在、首都圏や大阪などで受信料不払い者への督促を進めているが「未契約者が放置されているのは不公平」とする声が強く、受信料公平負担の側面から早急な対策が望まれていた。

 受信契約については、憲法の「契約自由の原則」に反するとの指摘もあるが、NHKでは「テレビを買う買わないは視聴者の自由であり、あえてテレビを買ったという点で契約の自由には抵触しないと考えている」としている。


April 10, 2007

NHK受信料支払督促裁判

弁護団が結成されたという。

雑誌「創(つくる)」がブログを立ち上げている。

NHK受信料督促裁判を考える!

弁護側は、単なる契約手続きで争うだけでなく、放送法やNHKの公共放送としてのあり方そのものについても議論し、憲法論にまで入っていく方針である、とのこと。

現在、3人の法的督促を受けた人たちの代理を依頼されているが、今後同様の法的督促を受けた人については無報酬で代理人を務める意思がある、と司法記者クラブの会見で発表された。

NHK側の弁護士は3名だが、これから増やしてくるかもしれない。

かなりの大型裁判になりそうだ。

March 28, 2007

西山記者時効で請求棄却

外務省機密漏洩事件で有名な西山記者が起こした国家賠償請求訴訟が、行為時から20年の除斥期間を経過しているとして請求棄却された。

裁判所は秘密条約の存否といった中身の判断には一切踏み込まなかったわけだが、法廷での証言などによってほぼ沖縄返還に伴う日米間の密約の存在は裏付けられたといってよい。

その意味では、西山記者の目的は達成されたといえる。

問題は、それを一切話題にしないメディアの方ではないか。

請求棄却は、不当な判断のようにも思われるが、訴訟の目的が紛争解決よりもメディアを通じた情報開示と世論喚起にある以上、裁判で明らかになった政府の密約をスッパ抜かないメディアの機能不全のほうをむしろ問題にすべきだろう。

裁判所としては、昭和53年に確定した不当な有罪判決を実質的に撤回すべきであり、国家賠償を認めるべきである。除斥期間といっても、信義則などを理由に適用を制限することは可能なのだから、門前払いすべきではない。

間違いを正すに遅すぎることなし。

January 13, 2007

2ちゃんねる差押え?

ひろゆき氏が裁判で確定した名誉毀損の損害賠償金を支払わないことから、2ちゃんねるが差し押さえられるとの報道がなされた。

有象無象の噂やゴシップのるつぼとなり、半ば政治的保守勢力による情報操作の道具とも化していたこのサイトの閉鎖自体は、社会的にはむしろ良い影響を与えると思うが(まあ遠からず同じようなものは出現するだろう)、ドメインを差し押さえるという手段は、一歩間違えば言論封殺の手段にもなりかねない危険な要素を持っている。

騒動を受けてトップページに人を食ったイラストを掲げているひろゆき氏が今後どういう反撃に出るか、注目したい。

 ネット界激震!! 賠償命令を無視し続けてきた日本最大の掲示板「2ちゃんねる」(2Ch)の管理人、西村博之氏(30)の全財産が仮差し押さえされることが12日、分かった。債権者が東京地裁に申し立てたもので、対象となるのは西村氏の銀行口座、軽自動車、パソコン、さらにネット上の住所にあたる2Chのドメイン「2ch.net」にまで及ぶ見込み。執行されれば掲示板の機能が一時停止するのは必至だ。

 12日午前、仮差し押さえを申し立てたのは、西村氏に対して約500万円の債権を持つ東京都の会社員の男性(35)。

 男性は2Ch上で自身や家族の実名、住所を晒され、「人間の屑」「ネットストーカー」などと誹謗中傷されたため、昨年8月、管理人の西村氏を相手取り、東京地裁に書き込み者の情報開示を求める申し立てをした。

 西村氏が出廷してこないまま同9月に開示を命じる仮処分が出たが、何ら対応が得られないため、間接強制で1日5万円ずつ制裁金を科すこととなった。それでも西村氏の法廷無視は続き、決定から100日を経て債権は500万円に膨れあがった。

 夕刊フジ既報の通り、西村氏は一切の賠償命令を意識的に無視し続けている。昨年11月の講演会では「子供の養育費の踏み倒しと同じ。賠償金を払わせる方法はこれ以上ない。イヤなら法律をつくればいい」と強弁した。

 強気の背景には、何ら差し押さえられるはずがないという自信があるとされる。西村氏には固定資産がなく、給与の流れも不明なので、一般的な差し押さえは無理。弁護士が銀行口座を探り当てるなどしてきたが、西村氏も海外に資産を移すなど対抗策を講じてしまい、どの債権者も手をこまねいているのが現状だ。関係者によれば「(西村氏は)時効成立まで逃げ切るつもり」だという。

 男性も西村氏が所有する軽自動車の標識番号や銀行口座など、差し押さえられるものを何とか突き止めた。申し立てに際して周囲から「返り血を浴びる」「またネットでたたかれる」とたしなめられたが、「年収は1億円」とさまざまな媒体で放言する西村氏を見て意を決した。

 「被害者はみな、高い弁護士費用をかけながら賠償金を取ることもできない。当の西村氏は悠然と賠償命令を無視して億単位を稼ぎ、『賠償金が取れない法律に問題がある』と開き直っている。だから恨み言や批判を言うのはやめて、法律にのっとって被害者の痛みを少しでも知ってもらう」

 今後、西村氏の異議申立期間もあるが、これまでと同様に出廷しない場合、早ければ再来週にも強制執行が始まる。

 今回の仮差し押さえは、西村氏個人はもとより、1000万人ともされる2Chユーザーにも大きな影響を及ぼす公算が大きい。東京地裁の「値段がつくものは差し押さえ可能」との判断から、「日本国内では前代未聞」(ドメイン登録機関)とされるドメインの仮差し押さえも行われるからだ。

 手続きが進んでドメインの所有権が移り、2Chというサイトがネット上の住所を失ってしまうと、ユーザーが従来の「2ch.net」にアクセスしても、何ら閲覧できなくなる。

 運営側が掲示板の継続を望むなら、新たなドメインを取得して全システムを引っ越す必要があるが、「2Chはリスクを分散するため、50台ものサーバーが各自独立しており、全体を統括するサーバーがない。データの書き換えは容易でなく、引っ越しに2週間は必要だろう。さらに新ドメインを周知するのが大変だ」(IT業界関係者)。

 男性は「西村氏の収入源は2Ch上の広告なので、すぐに新しい掲示板をつくるだろうが、いたちごっこは望むところ。次は自分以外の債権者が同じ手段に訴えてくれるはず」と、泣き寝入り状態にある全国の債権者に共闘を呼びかける。

 元旦から全国紙に登場するなど注目度満点の西村氏だが、新春から手痛いしっぺ返しを食らうことになった。

ZAKZAK 2007/01/12

受信料義務化?

前にも言ったように、スクランブル化するのがいいのではないか。
国民洗脳のためのニュース番組や民放でもできるような娯楽番組以外の、教養番組を分けて視聴できるようにすればいい。

国民全員に受信契約を強制することは許されない。
NHKは国家機関ではないのだから。
見たい人だけが、受信料を支払って見る。それでいい。

受信料「税金化」…NHK大バッシング必至

 総務省が今月召集の通常国会に、NHK受信料の支払いを義務化する放送法改正案を提出する方向であることが11日までに分かった。受信料を2割程度引き下げることを前提にしたものだが、事実上、「受信料の税金化」といえ、視聴者の猛烈な批判を浴びそうだ。

 受信料は現在、地上波のカラー契約が口座振替で月額1345円。菅義偉総務相はこれを2割程度引き下げた1000-1100円として、来年度から支払いを義務化したい考えだが、NHKは大幅な経費削減が不可欠な値下げには慎重姿勢を崩していない。

 菅総務相はNHKの放送事業のうち、娯楽・スポーツ番組の制作部門を今年度中にも分離して子会社化し、経営の効率化を推進することも求める。

 そもそも、NHKをめぐっては、番組制作費の着服やカラ出張などの不祥事が続発したため、視聴者の反発を買い、受信料の不払いが急増。受信料収入が落ち込んだ。

 同局は内部体質の改善に乗り出したが、富山放送局長の万引(昨年5月)や山口放送局長の約51万円着服(同月)、NHKサービスセンター職員の約370万円着服(同7月)や報道局記者の自転車泥棒(同11月)など、不祥事は後を絶たない。

 こうした中、「中立な公共放送」という建前を無視するような受信料の税金化や、NHKの焼け太りにつながる製作部門の子会社化などが果たして、視聴者の理解を得られるのか。通常国会の大きな焦点となりそうだ。

ZAKZAK 2007/01/11


August 31, 2006

社会の病理?

昨夜たまたまテレビのニュースを見ていたら、山口県の徳山工業高等専門学校で土木建築工学科の生徒が殺害された事件で、県警捜査本部が殺人容疑で周南市の同級生の男子学生(19)の逮捕状を取ったと報じられていた。

その直後に、ジョンベネちゃん殺害事件で、コロラド州の検察当局が、今月16日にタイで逮捕した元教師ジョン・マーク・カー容疑者(41)に対する刑事訴追を見送り、逮捕状を取り消すと発表したというニュースが報じられ、キャスターが「これはアメリカ社会の病理を示している」と深刻な顔でコメントしていた。

しかし、これはむしろ逆なのではないか、不当逮捕を検察当局が全面的に認め、謝罪するというのは、むしろ司法の健全さを物語っているのではないか、と感じた。
日本では、このようなことはありえず、たとえ捜査の違法性に気づいても、強引に起訴に持っていくのではないか。

19歳の少年に早々に殺人容疑の逮捕状が出され、メディアがそのことを合図にいっせいにその子を犯人と決め付けて大合唱する方が、よほど社会の病理を示しているのではないか。

今夜のニュースでは、殺害の現場(?)である研究室に落ちていた毛髪のDNAが少年のものと一致したのが逮捕状請求の決め手になったと報じられているが、普段から出入りしていたのなら毛髪が落ちていても不思議ではない。それに少年のDNAのサンプルはどうやって入手したのだろうか。

逮捕もされないうちから未成年を犯人とみなしてバッシングする、メディアこそこの国の病理を最もよく示している。

March 06, 2006

メディア雑感

『噂の真相』が廃刊して以来、活字メディアで読むに値するものがほとんどない状態が続いている。
かろうじて『創』がこつこつとジャーナリズムの王道を歩む記事を掲載し続けているが、ウワシンの“何でもあり”な姿勢に比べると、いかんせん地味な印象を免れない。

おかげで、時事的な話題やニュースについての情報は完全にネットに依存しているが、ネットの情報はやはり玉石混交でいまひとつ信頼性に欠ける。紙媒体のように、厳密に裏を取ってから公表しなければ訴訟沙汰になるという厳しさがなく、情報の発信者もルーズになりがちだから、結果としての情報価値も下がる。

かつて、松山事件や八海事件といった冤罪事件が大きく陽の目を見たのは、何よりもジャーナリズムの力が大きかった。宇野浩二などの当時の代表的な作家が冤罪の疑いについての声を上げ、雑誌が大々的に特集したことが、事件の真相解明に向けた世論をリードした。

翻って、今、冤罪事件に関心を寄せる作家などほとんどいない。警察の尻馬に乗って体感不安の増加と治安強化に向けたプロパガンダに協力する知識人、文化人ばかりだ。

メディアも、政府広報と化し、権力の深層を暴くような記事は事前に自主検閲される。

現状を打開する鍵は、やはりインターネットにあるような気がしてならないが、そのためには、ネットユーザーや情報発信者が、まだまだ成熟し、力をつける必要がある。同時に、紙媒体もやはり不可欠である。

気長に、とも言っていられない状況がある。しかし、1日で新芽から花を咲かせることもできない。
目を光らせつつ、できることをやっていこう。

January 20, 2006

外資系の恫喝訴訟はじまる?

米投資会社、毎日新聞を提訴 1億ドル賠償求める 朝日新聞 2006年01月20日20時48分

 米投資会社「サーベラス・キャピタル・マネジメント」(本社・ニューヨーク)は19日、東京都内の土地取引をめぐる毎日新聞の記事が名誉棄損にあたるとして、1億ドル(約116億円)以上の賠償を求める訴訟をニューヨーク連邦地裁に起こした。AP通信が伝えた。

 同通信によると、問題とされたのは毎日新聞が1月12日付朝刊1面で報じた「組関係者に手数料 米ファンド子会社 南青山の一等地 地上げに絡み」の記事。サーベラス社系列の不動産会社「昭和地所」(東京都中央区)が行った土地取引に暴力団関係者が関与した疑惑があるとしている

 これに対してサーベラス社は「日本の組織犯罪とは何のつながりもない」と主張しているという。

 <毎日新聞社社長室広報担当の話> 訴状が届いていないので、コメントを差し控えます。



言論封じ込め作戦か。

外資系はやることがえげつない。

1億ドルか。

ニューヨーク地裁に提訴されたら、弁護士を用意するのも大変だろう。
ある意味学会から訴えられるよりも厄介。
アメリカは日本より言論の自由への保障が手厚いようなイメージがあるが、優秀な弁護士がいないとやはり負けるのだろう。

問題の記事を下に貼り付ける。
このブログにも抗議が来たりして。

東京地検特捜部は、ライブドアはいじめても、外資系には手も足も出ないんでしょうか。

<地上げ>米ファンド系不動産 暴力団関係者が関与の疑惑(毎日)

 米国ファンドのサーベラス・グループ(本社・ニューヨーク)系列の不動産会社「昭和地所」(東京都中央区)が行った東京都港区南青山の一等地の地上げに、山口組系暴力団と親しい関係者が関与していた疑惑が浮上した。昭和地所副社長は「適法業者と認識している」としているが、関係者は毎日新聞の取材に暴力団とのつながりについて認めている。サーベラス・グループは、西武グループの再建計画にも乗り出している有名ファンド。しかし、結果的に暴力団に資金が流れた可能性がある。【大平誠、渡辺暖】

 登記簿によると05年5月24日、北海道旭川市の建設業者が同区南青山3に2分の1持ち分として所有していた3筆の土地(計179.79平方メートル)を、滋賀県東近江市の建設業者にいったん移転した後、同日中にサーベラス・グループ企業の「プロビデンス」(大阪市中央区)にそっくり移転した。この際、やはりグループ傘下の「GAコーポレーション」(東京都千代田区)が、極度額25億円の根抵当を設定した。

 複数の関係者によると、同日、都内の法務局に両建設業者、昭和地所の担当者、司法書士らに加え、暴力団と親しい関係者が集合。いったん東近江市の建設業者が8億3000万円で買い取った後、8億7000万円でプ社に転売。この際、暴力団と親しい関係者が買取額の約3%の仲介手数料を得たという。

 この関係者は毎日新聞の取材に対し、複数の暴力団幹部の実名を挙げながら「組長クラスを含め付き合いの深い知り合いはいる」と親密さを認めた。さらに「旭川の業者と接点のある東近江市の業者に、間に入ってもらった」と説明。近接する南青山3の複数の土地については、「2年半前に知り合った昭和地所副社長と組んで地上げを進め、手数料を得た。プロビデンスはトンネルとして使った」と証言。昭和地所はこれらの近接地に以前から1473平方メートルの土地を所有。周辺は権利関係が複雑になっており、暴力団と親しい関係者は「サーベラスがこの土地を核に、一帯を大規模に地上げする計画と聞いている」と話している。

 これに対し、この副社長は弁護士を通じ売買を認めた上で、「業者が暴力団の関係者という認識は全くないし、支払った手数料は適法、適切だ。自社所有の土地も含め、周辺土地の購入、遊休地の開発で地域貢献するのがデベロッパーの仕事だ」などと答えている。
 副社長は国際興業副社長も兼務。昨年末には西武鉄道の取締役にも就任している。

 <サーベラス・グループ>
 日本貿易振興機構によると、92年に米・ニューヨークに創設された「企業再建、更生ファンド」。帝国ホテル筆頭株主の国際興業、あおぞら銀行、昭和地所を傘下に収め、3月設立予定の西武ホールディングスの筆頭株主になる。

(毎日新聞) - 1月12日3時7分更新


January 11, 2006

NHK受信料の法的性質

いつもためになる東京新聞の特報欄が、NHK受信料裁判を取り上げていた。

なるほど、双務契約⇒債務不履行という法的構成にするのか。

ただそうなると、“公正な番組の放送”という債務の内容がいかなるものか、がさらに問題になる。

この場合、債権者(視聴者)にとっての“公正な番組の放送”の具体的内容は一義的に明確ではないので、裁判所がどこまで踏み込んで判断するかが最大のポイントだろう(もちろんそれ以前に双務契約かどうかという問題があるが)。

個人的には、双務契約という法的構成で勝つことは非常に難しいのではないかと思う。

もっと端的に、放送法は受信料支払いでなく、受信契約を義務づけているにすぎないこと、を前面に出した上で、一部視聴者に対してのみ受信料支払いを強制することは法的根拠を欠くことを主張していったほうが勝ちやすいのではないか。

もっとうまいやり方もあると思うのだが。今は思いつかない。

(以下転載)

不払い128万件 受信料裁判あるの

 経費流用問題などを契機に燎原(りょうげん)の火のごとく広がったNHK受信料の支払い拒否。昨年来、NHK側は法的手段に訴える考えを強調し始めたが、「裁判も辞さず」との姿勢を強める視聴者も少なくない。今年は全国各地で“受信料問題の法廷闘争”が繰り広げられる可能性も高いという。裁判で最大の争点となるのは、いったい何か。 (市川隆太)

 NHK広報局によると、受信料の支払い拒否・保留件数は昨年十一月末時点で、前期(八-九月)比約一万四千件増の約百二十八万件にのぼった。「拒否・保留」という表現だが、要は不払いだ。ただ、一昨年九月末(不払い約三万一千件)から始まり、二カ月あたり二十万-三十万件で増えてきた“伸び”はペースダウン。約八万一千件の支払い再開もあったといい、NHKは「信頼回復に努めたことでNHKに理解を深めていただいたと受け止めている」(橋本元一会長)と自信をのぞかせている。

 新規受信契約者には韓国美人女優らのカレンダーをプレゼント-こんなキャンペーンをホームページで大々的に宣伝するなど、視聴者心理をくすぐる作戦にも余念がない。

 しかし、新年度からは、よりハードに、不払い者に対する「簡易裁判所を通じた支払い督促」に踏み切る可能性が強い。橋本会長も昨年十二月、本紙放送芸能部のインタビューに対し、「督促を実行できる体制整備を(二〇〇六-〇八年度の経営再建計画に)盛り込む」と明言した。

 NHKの申し立てを受け、簡易裁判所が支払い督促を発した場合、視聴者側が二週間以内に異議申し立てすると、支払い督促の効力がなくなり、正式な裁判で争うことになる。異議申し立てしなかった場合は、NHKは受信料を強制執行できる。

 NHKは「支払いを求める額に応じて手数料や郵便切手が必要となる。請求額十万円以下の場合、手数料五百円・郵便切手千二百円の計千七百円程度が必要と試算している。視聴者の異議申し立てにより訴訟となる場合は、追加の手数料五百円・郵便切手六千円程度がさらに必要となる」(広報局)としている。

 このようにコストをかけた背水の陣だが、不払い者たちがあっさり応じる気配はない。まず、NHKプロデューサーだった磯野克巳被告による番組制作費詐取事件の影響が大きい。詐欺罪で起訴された磯野被告は昨年九月の公判で「プール金をつくるためだった。デスク以上は誰でも(プール金の存在を)知っていた」と述べている(NHKは否定)。

 さらに「ETV2001 戦争をどう裁くか」という番組のデスクだった長井暁チーフプロデューサーが内部告発した“NHKへの政界圧力問題”について、NHKが「政治家への番組内容の事前説明は通常業務である」(のちになって訂正)としたことへの反発もある。

 元情報通信審議会委員の醍醐聡東大大学院教授(財務会計論)など大学教員、市民二百三十一人でつくる「NHK受信料支払い停止運動の会」も、政界圧力問題が結成のきっかけだった。

 醍醐教授は「(政治家への)事前説明が通常業務と言ったNHKは“自主独立、不偏不党の放送”ということに抵触している」と批判する。

 支払い督促という“伝家の宝刀”もコストがかかるため、醍醐教授は“竹光”にすぎないとみている。「実行には踏み切れないはずだ。牽制(けんせい)すれば支払いが増えると思っているのではないか。督促をやるとしても一、二例の長期滞納者に対してだろう」

 しかし、仮に支払い督促された場合は「異議申し立てを行い、即座に裁判に移行する」と言う。「裁判は債務者のいる場所で開かれるから、NHKの担当者は日本中を回らなければならなくなるだろう」

 全国で受信料裁判が起きる異例の事態に発展したとすれば、なにが論点になるのだろうか。

 醍醐教授は放送法三二条の解釈をめぐる「視聴者とNHKの契約内容」を争点に立てる考えだ。

 放送法三二条は受信設備設置者にNHKとの契約を義務づけているが、醍醐教授は「受信料の支払いは、日本放送協会放送受信規約五条に書かれているにすぎない。放送法は受信料支払いでなく、受信契約を義務づけているだけだ」と言う。そのうえで“受信料支払い”と“公正な番組の放送”は「双務契約の関係にある」と指摘する。

 話が難しくなってきたが双務契約とは何だろう。商店でジャムパンを百円で買ったが、あとで見たらクリームパンだった-こんな場合、客は「ジャムパンください、と言ったのに、店が間違えた」と不満になる。商店には“ジャムパンを渡す債務”が、客には“百円を払う債務”があると考えるのが筋だろう。こういう双方に債務がある契約を双務契約という。

 商店が債務を果たさなかった(債務不履行)のに、客だけ債務(百円)を果たすのは、あまりに酷だということで、民法上も、双務契約には「当事者の片方が債務を履行するまで、相手は自分の債務履行を拒否できる」という同時履行の抗弁権がある。「ジャムパンをくれるまで、百円払いません」と主張できるそうだ。

 醍醐教授は、視聴者は客、NHKは商店にあたり、受信料問題も双務契約にすぎない、としたうえで、「NHKには“何人の干渉も受けずに不偏不党の放送を行うこと”などの債務がある」と主張する。同時に「私たちは他の不払い運動とは違い、NHKが正しい姿に戻ったら、過去にさかのぼって支払う」と話す。

 ▽“NHKの憲法”ともいえる「NHK倫理・行動憲章」に、政治家らへの事前説明をしないと明記すること▽検証番組などの形で番組の政治介入の真相を明らかにすること-が支払い再開の条件だという

 ジャムパン(干渉を受けない不偏不党な放送)をくれるというから料金(受信料)を払ったのに、中身がクリームパン(政治家に事前説明するような放送)だったから、ジャムパンに変えてくれるまでは払いたくない-というわけだ。

 これに対し、NHK広報局は「反論は控えたい」としつつも「一九六四年の臨時放送法制調査会(郵政相の諮問機関)答申では『受信料はNHKの業務を行うための費用の一種の国民的な負担であって…国家機関ではない独特の法人として設けられたNHKに徴収権が認められたところの、その維持運営のための特殊な負担金と解すべき』との考え方が示されている」と説明する。双務契約ではないと言いたげだ。

 裁判は▽受信料支払いは法律上の義務なのか▽それとも双務契約なのか▽双務契約だとしたら、NHKに視聴者への債務不履行があったか、などがポイントになりそうだ

 政治家への事前説明問題に関する「こちら特報部」の質問に、NHKからは「うかがいを立てるような形での説明はしていないし、これからもしないということです」と、なんとも含蓄のある回答が返ってきた。

 「受信料不払いの急増以降、うちの幹部は『政界批判もしなければ、まずい』と言い始めました」。あるNHKベテラン記者は、こう苦笑しているのだが-。

 <メモ>放送法32条 協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備またはラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送および多重放送に該当しないものをいう)もしくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

 日本放送協会放送受信規約5条 放送受信契約者は受信機の設置の月からその廃止の届け出のあった月の前月まで、放送受信契約につき、種別および支払い区分に従い放送受信料を支払わなければならない。

 民法533条 双務契約当事者の一方は相手方がその債務の履行を提供するまでは自己の債務の履行を拒むことを得。ただし相手方の債務が弁済期にあらざるときは、この限りにあらず。

September 21, 2005

NHK法的措置への措置

日刊ベリタにこんな記事があった。

NHK新生プランの問題点と私たちの今後の行動    「NHK受信料支払い停止運動の会」代表・醍醐 聰 

 ■法的措置取れば対抗

 ・・・また、プラン案は、大規模な人員削減で身を削る努力をアピールする一方、有料契約対象世帯数・事業所の4分の1に及ぶ受信料の不払いや未契約に対しては、最終的に法的措置で支払いを督促する手段を講じる方針を示した。 

 法的手段も辞さないというNHKの方針は、「NHKと国民との信頼に基づいて受信料をいただいているという全く世界に例のない理想的な公共放送」(第145回国会衆議院逓信委員会における海老沢NHK会長〔当時〕の答弁)と自負してきた受信料制度の趣旨をNHK自らが根本から覆すことを意味する。 
 
 もし、NHKが、牽制としてではなく、実際に法的手段に訴えるのであれば、私(たち)は、それにたじろがず、これを、公共放送としてのNHKの理念と現実の落差を考える良い機会ととらえて、毅然と対処していきたい。 

 ・・・私は、今回、NHKが受信料不払い者に対して法的手段を検討する方針を打ち出したことを契機にして、受信料をNHKの経営、番組作りへの視聴者の「参加権」と捉え、政治に弱いNHKの体質を社会に問いかける運動を呼びかけたいと思っている。

全文はこちらで。

支払督促は詐欺会社の架空請求としてよく使われる手だ。身に覚えがないからといって放っておくと裁判所から呼び出し状が来て、なお放っておくと預金や財産を差し押さえられる。

NHKから支払督促が来たら、とりあえず2週間以内に「督促異議の申立て」を行うべし。
(「支払督促」と一緒に同封されている「督促異議申立書」に必要事項を書いて裁判所に送り返すだけ)

それから、NHKが引かなれば、裁判で争うことになろう。受信料徴収には法的根拠がないので、NHKが勝訴するとは考え難い。確定判決がなければ強制執行はできない。

参考:督促手続・少額訴訟Q&A(財務省HPより)

まずNHKは、未契約者の数と、契約者でかつ受信料を支払っていない者の数を公開しなければならない。そして、支払っていない者全員に督促を行うのか、行わないとしたらその理由を説明しなければならない。

NHK側が「公平」を盾に取るならば、督促も、公平に全員に行うべきだろう。その上で、未契約者と契約者の「不公平」も解消しなければならない。

【資料】「NHK受信料支払い停止運動の会」の見解と申し入れ全文

March 24, 2005

ほりえもんかく語りき

今週のビデオニュース・ドットコムのマル激トーク・オン・デマンドは、ライブドアの堀江社長をゲストに、六本木ヒルズで収録された90分のインタビュー番組だった。

メディア問題についてとことん突っ込んだ話が聞けるかと思ったが、神保氏も感想で書いているとおり、おおむねこれまでの発言を超えるようなものはなかった。宮台氏も、せっかくヒルズまで乗り込んでいったのだから、お追従のようなコメントは排してもっと挑発的にやればよかったのに、と思うのは外野の無責任な感想だろう。実際、堀江氏はそれほど間違ったことは言ってなかったし。それどころか、「国境や宗教がなくなって、皆が寛容になれば戦争もなくなる」と、ジョン・レノンとみまがうかのような言葉も。これは案外彼の本心だろう。彼は徹底したリアリストで合理主義者だが、一部メディアが流布しているような悪玉ではない、との直感を確認。

グローバルな展開ということに関して、ユダヤ金融資本のような海千山千の連中に太刀打ちできるのか、と言われたときは「バカにするな」と少しむっとした様子を見せた。全体として傲慢とすら映る絶対的な自己に対する自信こそ、これまでの事業推進力と現在の破壊力の源泉であり、かつ、旧世代の人々にとって苛立ちと脅威を感じさせる要素なのだろう。

このインタビューの直後に高裁決定が出て、予想通りライブドアの仮処分申請は認められた。
さらに、昨日は、ソフトバンクの関連会社ソフトバンク・インベストメントがフジテレビの筆頭株主となるという衝撃的なニュースが世間を賑わせた。マル激の中で堀江氏は「ITと放送メディアの融合に先鞭をつけたのは孫さん」と語っていた直後のことで、彼にとってもまた衝撃的な出来事だったのではないか。それともこれもまた「想定内」のことなのだろうか。

神保氏は、インタビュー後の感想で、堀江氏のメディアに対する認識はまだまだ甘い、と明言している。しからば、次回こそ彼を相手にディープなジャーナリズム論議を期待したいところだ。もっとも、その頃にはライブドアがもはや堀江氏のものではなくなり、彼のメディアへの夢が絶たれているという恐ろしい可能性もなくもないのだが。

March 15, 2005

NHK受信料不払い70万件

NHK不払い:「70万件に拡大も」衆院総務委生中継

 衆院総務委員会は15日、NHKの05年度予算案・事業計画について集中審議を行った。NHKの中山壮介理事は、一連の不祥事を理由としたNHKの受信料支払い拒否・保留件数が今月末現在で70万件程度に上る可能性があることを明らかにした。野田聖子委員(自民)らの質問に答えた。

 NHKは総合テレビなどで審議の模様を生中継した。NHK予算案の国会審議の生中継は初めて。

 不払いの70万件分を回収できなかった場合の05年度予算への影響について、NHKの和崎信哉理事は「さらにマイナス40億円程度になる」との見通しを述べた。

 受信料支払い拒否・保留件数について、NHKはこれまで「3月末時点で45万~50万件」と見込んでいた。これに伴い、予算案は受信料収入を72億円減と、初のマイナス計上となっていた。

 予算案は同日夕に可決される見込みだが、共産党は「NHK特集番組が政治介入で改ざんされた」との理由で反対する考えを表明している。【NHK問題取材班】

毎日新聞 2005年3月15日 12時20分

前会長のツケを払わされている現会長には同情するが、残念ながらまだ気持ちよく受信料を払う気にはなれない。

昨夜も2回目の集金にやって来たが、今の状況では払えないと言うとやけにあっさりと帰っていった。

最近のNHKを見ても、ニュースの偏向ぶりなど改善されているとは思えない。このところライブドアとフジテレビの騒動を毎日トップニュースで嬉々として伝えていたのは、NHK問題の格好の目くらましになるからだろう。まったくふざけたやり方だ。

今のNHKの番組で見るに値するのは『ピタゴラスイッチ』くらいのものだ。この番組くらいは、政治部の介入から自由でいられるからだろう。

March 11, 2005

決定要旨 ニッポン放送新株予約権発行

きわめてまっとうな判断だと思う。

(以下転載)

決定要旨 ニッポン放送新株予約権発行(中国新聞)

 ニッポン放送の新株予約権発行問題で、11日の東京地裁決定の要旨は次の通り。

 【有利発行か】

 新株予約権の有利発行にあたるかどうかは、オプション評価理論に基づいて算出された価額(公正な発行価格)と取締役会で決定した発行価額とを比較して判断することになる。

 本件の発行価額の算出方法で、明らかに不合理な点は認められないから、本件が「特ニ有利ナル条件」(商法二八〇条ノ二一)による発行だとまではいえない。

 【不公正発行か】

 不公正発行とは、不当な目的を達成する手段として新株予約権発行が利用される場合をいう。

 株式会社で、支配権を争う特定の株主の持ち株比率を低下させて現経営陣の支配権を維持することを主な目的に、従来の株主の持ち株比率に重大な影響を及ぼすような数の予約権を発行して第三者に割り当てることは、特段の事情がない限り、会社ひいては株主全体の利益の保護という観点から不当な発行にあたる。

 ニッポン放送による新株予約権の発行は現在の取締役の地位保全を主な目的とするとはいえない。しかし、現経営陣と同様にフジサンケイグループに属する経営陣による支配権の維持を目的とするもので、現経営陣の支配権の維持を主な目的とするものだ。

 ニッポン放送は、新株予約権の発行は企業価値が損なわれることを防ぎ、放送の公共性を確保するためで、発行は正当だと主張している。

 特定の株主が支配権を取得することでこのような利益が損なわれる場合には、相当な手段をとることが許される場合もある。しかし、現経営陣の支配権維持のための発行は原則として許されない。発行を正当化する特段の事情があるというためには、特定の株主の支配権取得で企業価値が著しく損なわれることが明らかであることが必要だ。

 本件では、ライブドアの支配権取得でニッポン放送の企業価値が著しく損なわれることが明らかであるとまではいえない。

 またニッポン放送は、ライブドアが証券取引法に違反してニッポン放送株を取得しており、その防衛として新株予約権を発行したと主張しているが、ライブドアが証取法に違反しているとは認められない。

 したがって、本件新株予約権の発行は「著シク不公正ナル方法」(商法二八〇条ノ一〇など)による発行と認められる。

March 09, 2005

堀江氏はジャーナリストを敵に回すのではなく味方につけるべき

昨日のつづき。

筑紫哲也氏との一問一答は、ポポのがんがれ日記さんに詳しい。

堀江氏のメディアに対する考え方の中で、僕が注目したのは、「何が重要な情報なのかの選択は、メディア側ではなく、視聴者(ユーザー)が行なうべきだ」という部分である。

彼の論理からすれば、「情報」というものを純粋な「商品」とみなし、その価値を完全に市場原理に委ねるべきだ、とでもいうつもりなのだろう。

この見解には、いくつもの論点が含まれている。果たして「情報」を「商品」と同視できるのか。また、「情報」の価値は市場原理によって適切に定められるものなのか。

それ以前に、そもそも「情報」とは何なのか、という問題もある。

たとえば、われわれが新聞などで毎日目にする記事に書かれている情報は、政府や官庁や警察や民間企業が公式に発表した内容であったり、それらの機関の関係者のオフレコ発言に基づくものであったりするが、それらは各新聞社(報道機関)の記者たちが、政府機関のプレス発表を入手したり、あるいは取材活動を通じて得た情報を構成したものである。

こうした「情報」の中には、①記事になる以前に記者の判断で撥ねられるもの、②記事化されても編集者の判断によりボツになるものも含まれている。そして、③記事化されたものも、編集上の判断により、扱いの大小は異なる。また、見出しのつけ方などによって、記事の印象は大きく変わってくる。

堀江氏のいう「情報」の中には、まず①のものは含まれない。彼が「一次情報はカネで買ってくればいい」と考えているのであれば、②のものも含まれないことになる。彼が「よけいな情報操作はしない」と言うときに考えているのは、③の情報に関してであろう。そして、記事化された情報について、たとえば「人気ランキング」で扱いの大小を決めればいいと言っているわけだ。そうすれば、大衆はおのずと適切な情報を選択する、と。

しかし、彼が防ぐことができると主張する「情報操作」や「捏造報道」というのは、実際には①と②の次元で起こるのではないか、という疑問がまず生じる。

少なくとも報道の分野において、堀江氏のメディア論が意義あるものとなるためには、それによって、既存メディアでは明らかにされてこなかった新たな「真実」が報道される可能性が生まれることが必要である、と思う。そのためには、①と②の情報をこそ充実させなければならず、それを自前で用意して、すべて公開しなければならない。ユーザーに選択を委ねるならば、選択メニューはできる限り豊かにすべきだろう。

次に、一般的傾向として、大衆は、見たくない現実に直面させられるような情報よりも、心地よい夢を見させてくれる情報を好むのではないか、という疑問もある。「人気ランキング」という発想は、嗜好品についてはふさわしいものであっても、「報道」にはふさわしくないのではないか。「真実」を扱う情報(=報道)の流通には、やはり市場原理を超えた規律が必要なのではないか。

堀江氏に個人的に提案したい。

報道に関しては、ネットがどうのとかランキングがどうのとか言わずに、「力のあるジャーナリストを集めて、好きにやってもらいます」とだけ言えばいい。

健全なジャーナリズムはやはり必要なのだ。それが不要に思えるのは、ネットのせいではなく、今のメディア構造が腐敗しているからだ。

パブリック・ジャーナリストを「コスト削減のため」などと言わずに、有能なジャーナリストを集め、育成するために大いにカネをかけるべきだ。

そうすれば、腐った大メディアの現状に不満を抱く優秀なメディア関係者が、こぞって貴方の強力な味方になってくれるだろう。

貴方がそういう方針を取るかどうかで、歴史が貴方に下す審判の中身は、大きく異なってくるに違いない。

March 08, 2005

テレビを殺す? ジャーナリズムは不要?

堀江社長の一連のメディア論、ジャーナリズム不要論が波紋を呼びまくり、今夜の「ニュース23」で、筑紫哲也氏がジャーナリズムの矜持を代弁する形で、そのあたりを突っ込んでインタビューしていた。

「調査報道など必要ない」という毎日新聞での発言については、「必要ないとは言っていない」と否定し、そういったものは必要だが、記事を選択する過程で恣意性が入ることが大きな問題であり、それが捏造報道や冤罪の誘発を生み出しているのではないか、という。何が重要かという記事の選択を大手メディアに任せるよりも、ネットによるスクリーニングを介在させることで報道がより公正なものになる、と堀江氏は言いたいわけだ。

彼の考えは僕にはなんとなく分かる、というより、かなり共感できそうな気がするのだが、いまひとつはっきりと言葉にできない。そのもどかしさは、あの番組を見た多くの人が持ったのではないか。

既存のメディアに対する決定的な不信感と、市民の健全な好奇心への信頼、というものがベースにあるらしい、というところまではなんとなく分かる。

まだまだ曖昧なので、この方向で考えを掘り下げてみたい。

新聞社の徹底研究

噂の真相亡き後毎月欠かさず読むに値する数少ない雑誌の一つ『創』最新号(2005年4月号)は「新聞社の徹底研究」という特集記事を組んでいる。

メディア買収問題はヨーロッパでもかなり深刻な状況らしく、金持ちの異種業種にメディアがどんどん買収されている状況があるという。

桂敬一立正大学教授は、新聞に代表される既存メディアが追い詰められていく原因を4つ挙げて分析している。

1 フリーペーパーの増加
  若い人たちにとって、日常的なニュースを読むには、街角で手に入れることのできる各種タブロイド紙で十分になってきているという状況がある。

2 ブログに代表されるネットでの情報入手
  多様な分野の情報が、新聞より早く、詳しく伝えられている。

3 大メディアの信用低下が著しい
  イラク戦争の流れの中で、本当のことを伝えない、あやふやな材料で報道し、結果的に捏造報道だった、というようなことがたくさん起こり、新聞・放送問わず、結局大メディアは信用できないという見方が広がってきている。

4 メディアが異業種の巨大企業グループに吸収されていくのに伴って、その言説が甘くなっている 
  フランスその他の欧州諸国では、軍需産業(多国籍企業)がメディアを買収し、メディアがそこに所属させられることで独立性を失うという現象が起こりつつある。その結果メディアへの信用は低下する。

これらの原因はおおむね日本の状況にもあてはまる。4の現象については、日本においては国家権力との癒着という側面が大きい。

この記事には、2004年下半期の主な新聞の平均発行部数というのも載っていて、読売・産経が大幅に発行部数を伸ばしているのに対して、僕の愛読している東京新聞がどんどん減らしているのに軽いショックを受けた。奈良の事件の影響か、毎日も上半期から急激に部数を減らしている。

読売新聞の2004年下半期の発行部数は10,118,699部で、前年に比べて81,251部の増加。産経新聞は04年下半期が2,141,663部で、前年比41,534部の増。この二紙の増加ぶりは他紙に比べて突出している。

一方、東京新聞の04年下半期は603,991部で、前年比10,850部の減。毎日新聞は、04下半期3,937,545部で、前年比1,107部減少。04年上半期との比較では18,803部の減となっている。

ちなみに、朝日新聞は、04下期8,250,659部で、前年比13,084部の増。

今後、朝日が改憲に転じるおそれがあり、それが日本のメディアの大きな転機となるのではないかとの懸念も表明されている。2005年は、満州事変の後に報道機関の翼賛大政の足並みが揃った1931年と同じになるのではないか、と。

5月3日にあわせて、4月末に各紙が行う憲法問題についての世論調査には、その設問の仕方や、結果を踏まえた社説を含め、大いに注目する必要がある。

March 05, 2005

「みなさんが考えるジャーナリズムはもはや必要ない」

毎日新聞の堀江社長インタビュー一問一答が面白い。

相当険悪な雰囲気だったんだろうな。

以下一部抜粋。

 --ジャーナリズムは隠された事実を明らかにし、社会の不正を追及し、いろいろなオピニオンを提供する。堀江さんが考えるビジネスモデルとジャーナリズムはどう一致するのか。

 ◆みなさんが考えるジャーナリズムは、インターネットがない前提でのお話なんです。インターネットがない時代はもしかしたら必要だったかもしれない。しかし、今は必要ないと私は言い切ってもいいと思う。なぜ必要ないかといえば、興味のあるネタはインターネットで自分で探せるようになっている。(ネットには)いろんな意見がある。いろんなことを考えている人がいて、それを並行して見ることができて、自分の考え方の形成に役立つ。これまでは新聞が報道しないと正しくないとみんな思っていたが、そうじゃなくなってきている。ネット上はみんなが正しいと思った情報はすごく広まる。そうやって世論が形成されていくようになっていく。少しずつ影響が社会に出てきている。ニッポン放送株問題も、あまりにも偏向しすぎている。例えば、産経新聞を見れば分かる。産経新聞が偏向しているのは明らかに分かる。

--新聞は情報に責任を持ち、それによって読者からの信頼感を得る。信頼感が重要だと思うが。

 ◆今のジャーナリズムに問題点があると思っているのはそこなのです。(残虐な)映像を見せたら、子どもたちは嫌な思いをするだろうとか、いろいろ思うわけです。親の気持ちになって「これは見せないでおこう」とするのは、どうなのだろうと思う。出してすごく問題だとなれば、メディアとしての信頼性を失うから失地回復すればいいじゃないですか。要は何でもスクリーニング(取捨選択)してしまうことはいいのか。それがインタラクティブ(双方向)性がない時代、要はインターネットがない時代は、見せてあとは知らんふりすることができたかもしれない。今はまずいことならば、袋だたきに遭ってしまう。もし(残虐な)映像を見せて、反発が多かったら、そこでディスカッションをしてもいい。世論調査をして50%以上が悪いと思うならば素直に謝ればいい。「こんな結果が出ました。申し訳ございませんでした」とはっきり言えばいい。そういう時代になってきているのかな、と僕は思っている。双方向のコミュニケーションができている。メディアのあり方も変わっていかないといけない。途中でスクリーニングをかけたり、バイアスをかけたりすることは必要なのか。それは読者が判断することではないか。今は判断できる時代だと思う。記事をランキングシステムにして、アクセスが多い記事が見出しが大きくなるとか。インターネットはいくらでも記事を出せるのだから。深く読みたければ、いくらでも深く読めばいい。そこから、いろんなところにつながっていく。記者の判断だけで1面トップに載せるのが本当にいいのか。価値判断はユーザーがすべきだと思う。

 --放送は免許制で、放送法の規制を受ける。インターネットと、放送法で規制される放送はうまく合うのか。

 ◆インターネットに参加しているのは個人。個人がたくさんいる場所は公共。インターネットは公共性がないんですか? あまりにもインターネットが新しいので、あまり使ったことのない人は怖さみたいなものがあるのかも分からないが、みんなが使っているものは公共性がある。

 --ネットでの正確性の追求はどうするのか。

 ◆(既存メディアも)追求しようとしていても、できていないじゃないか。僕の問題に関しても、かなりの確率でうそ記事がある。やっぱり信用できないなって思います。見出しでバイアスがかかったり。媒介者のメディアがそれをコントロールできるのが問題じゃないか。

 --堀江さんがメディアを持つ時は、コントロールしないのか。

 ◆僕はコントロールしたくない。純粋な媒介者であるべきだと思うんですけど。ありのままの事実をそのまま伝えるのが、いいんじゃないんですか。ただ、理想はそうだが、ガラッと変える必要もない。徐々に変えていけばいい。ドラスティックに、私たちがニッポン放送の経営にかかわったから、いきなり変えよう、なんてわけがない。徐々にディスカッションをしながら変わっていくに決まってるじゃないですか。

(引用終わり)

やっぱり一度ビデオニュース・ドットコムに堀江社長を呼んで徹底的に議論してもらったほうがいいのかも。

ほりえもんの目を覚まさせるには、神保・宮台の強力コンビしかないような気がする。

喩えとして適切かどうか分からないが、多くのドイツ人が『わが闘争』を読んでいたにもかかわらず、ヒトラーを政権に就けてしまったのは、ドイツ国民の多くが、まさかヒトラーがあの本に書いてあることを本気で実行するとは思わなかったからだ、という。

ジャーナリズムそのものを否定するようなほりえもんの発言も、笑って許していると大変なことになるかもしれない。

しかしこうした発言が容認されてしまうくらい既存メディアがひどいことも確か。

March 04, 2005

要するに風穴を開けろ

ライブドア堀江社長について、彼を「基本的には応援する」という人々の側でも、意見が分かれているようだ。

たとえば、氏は、堀江氏が既存メディアを破壊した後に、よりよい状況が生まれる可能性よりも、この国の民度を考えれば、その逆の可能性のほうが高いと述べる。

●[脱ライブドア宣言]要がライブドアを「敢えて」応援しない理由

昨日外国人記者クラブで、堀江氏に「記者クラブ問題」について質問したジャーナリスト神保哲生氏も、基本的には堀江氏を応援すると言いながら、彼の示したジャーナリズムへの無理解に危惧の念を示している。

◆ 堀江氏の会見について思うところ

どちらも説得力のある意見であり、特に、一定レベルのジャーナリズムの質を担保する必要性という視点からの神保氏の懸念は拝聴に値する。

しかし、そうした意見を踏まえた上でも、敢えて僕はほりえもんを全面的に支持したい。

既存メディアが社会にもたらしている利益は確かに存在する。彼らの日々の努力によって国民の「知る権利」がある程度保障されていることは疑いない。しかし、一方で既存メディアの弊害も看過できない段階に達していると思う。最大の弊害は、彼らが意図的に、あるいは時には無意識的に行なっている情報操作にある、と僕はつねづね思っている。情報操作には、積極的なものだけでなく、「知っていることを書かない」という不作為も含まれる。彼らはそれを「バランス感覚」という言葉で正当化しているようだが、要するに一人一人が組織の中での自分の立場を失うことを恐れているにすぎない。

このような情報操作が可能になっているのは、既存のメディアがNHKも民放(=新聞社)も含めてスクラムを組み、自分たちに都合の悪い情報を出し過ぎないように共同防衛しているからだ。この場合の「自分たち」には政府も含まれる。なぜなら今のメディアは権力と一心同体であるから。

このメディア業界の鉄のスクラムを破るために、新規参入は必要なのだ。これができないことには、話にならない。まず風穴を開けてみろ。それもできないのにその先の話をしても仕方がない、と思う。

民度が低いから云々という議論は、その前提が変われば中身も変わってくるだろう。
つまり日本人の民度が低いのは、日本人が他の国民に比べて馬鹿だからではなく、金太郎飴のようなメディア各社の報道により、偏った情報しか与えられていないからだといえる。たとえば、今新聞やテレビだけに接している人々に比べて、ブログを読んでいる人々のリテラシーが向上していると言えるならば、ネットとマスメディアの融合は、国民全体のリテラシー向上に大きく寄与する可能性がある。マスメディアが垂れ流す画一的なパッケージ化された情報だけでなく、できるだけ多くの人々が多種多様な情報に触れる機会が与えられることは望ましい変化だろう。

あと、ライブドアがフジテレビのオーナーになることで日本のジャーナリズムが一気にガタガタになるというのは心配のしすぎだろう。各社の報道部門は存在し続けるだろうし、健全なジャーナリズムは、たとえ少数ではあっても必ず残る(だいいち今より少数になることがあろうか?)。ネットとマスメディアの融合によって、そうしたまともなジャーナリズムに国民が触れる機会はむしろ増えるのではないか。

報道が多様化すると、何でもありになって、「悪貨が良貨を駆逐する」という現象は、限られた範囲のメディアでは起こりうるかもしれないが、メディアが巨大になればなるほど、そのような現象には歯止めがかかりやすくなるのではないか、と思う。メディアの多様性が存在する状況よりも、大本営発表のような金太郎飴メディアしか存在しない状況の方が、国家レベルの暴走が起こる危険ははるかに高い。

要するに、今の閉塞しきった状況と、風穴が開いて自由の風が吹き、混乱して何でもありになり始めた状況を比べて、どちらがよりマシか、と考量した上での、状況判断の問題だろう。

ほりえもんは楽観主義者だから、何もない荒野を見て、何もないんだから何でもできると考えるそうだ。僕のような悲観主義者は、何もない荒野を見ると、どうしたらいいか途方に暮れてしまう。だからほりえもんのような人間を見ると嬉しくなってしまうのかも知れない。

多少アジテーション風

ほりえもんの、外国人記者クラブでの記者会見を見た。

大雑把な感想だけを言うと、ああ、こいつは思ったよりスケールがでかいな、ということだ。スケールがでかい、というのは、主にその発想の骨太さである。時の勢いもあるのだろうが、外国のプレスの前で確信を持って雄弁に己のビジョンを語る姿はなかなか堂に入っていた。

彼は「ネットがすべてを制する」とのシンプルな確信に基づいて、すべての考えを組み立てている。ネットの本質はコミュニケーションであり、コミュニケーション・ツールの進化は不可逆的である。つまり、一旦ステップ・アップすると、退化することはありえない。公衆電話が携帯電話に取って代われば、経済的要因など外的な制約がない限り、元に戻ることは決してないのだ。

彼は、時代が自分に追いついてくることは必然だと考えている。時代が自分のアイディアに追いついた時に最大のビジネス・チャンスが生まれる。追いつくのを待っているのでは足りない。多少強引な手段を使ってでも、こちらに引き寄せるのだ。後はタイミングの問題だけだ。そしてそのタイミングを“今”だと判断したのだ。その判断の背後には、この国の一般大衆(ユーザー)に対する無条件の信頼がある。彼は、自分が味方につけなければならないのは、旧勢力のボスでもなければ、知識エリートでもなく、ユーザーであり、株主であり、大衆であるということを本能的に理解している。

ニッポン放送を買収することで記者クラブへの出入が自由になることなど、彼にとってはたいした問題ではない。彼にとっては、大衆への「リーチ」が増え、ネットの無限の可能性を遍く知らしめることのみが重要なのだ。記者クラブに入ることで手に入れることができるインサイダー情報やスクープなど、実は大衆は欲していないのだ、と彼は主張する。もっと重要なのは、一人一人が情報の発信者となり、周囲とのコミュニケーションを豊かにし、人々の心を豊かにできる手段を持つことだ。訓練を受けたジャーナリストでなくとも、自分の持っている情報で社会を動かすことさえできる力を持つことなのだ。

彼の中で、ネットの可能性を信じることはユーザー(大衆)を信じることと同義であり、その意味でほりえもんは真のポピュリストである。彼の動きに懐疑的な人は、大衆に懐疑的な人である。

彼は今この時点で、この国が何よりも必要としている“自由”と“楽観主義”を体現している、と思う。

少し好意的すぎるかな?

February 28, 2005

ほりえもん・・・

いいかげんこの話題は終わりにしたいのだが、今週のビデオニュース・ドットコムのマル激トーク・オン・デマンドでも、やはりライブドア問題を取り上げていた。前半は中央大学法科大学院の会社法の大杉謙一教授(今朝のNHKニュースにも出ていた)をゲストに招いて、法律論を中心に。大杉教授は、ライブドアの差止め請求は通るのではないかと述べていた。

後半は、いつもの2人でトーク。神保哲生氏は、インターネットでニュース番組を持ち、ビデオジャーナリストとして活動してきた自負もあってか、ライブドアの打ち出す“パブリック・ジャーナリスト”などの企画にはかなり懐疑的で、まだ得体の知れないホリエモンという存在について、評価しあぐねているという印象だった。

宮台真司氏は、むしろ閉塞状況の破壊者としての堀江社長を積極的に評価し、多くの一般市民に既存メディアの持つ問題点を認識させ、世代間対立などを浮き彫りにしたという点で、今回の出来事に大きな意義を見出している。

本当は堀江氏をゲストに招いてとことん議論するのが望ましいという点で2人の意見は一致しているが、ライブドアの広報と話がつかないらしい。実際のところほりえもん自身が、“ニッチなメディア”と思って相手にしていないのかも。

僕自身は、どちらかというと宮台派だ。ほりえもんが淀んだメディア構造をかき回しまくるのも大歓迎だし、パブリック・ジャーナリストもどんどんやればいい。最初は記事のレベルも低いかもしれないが、徐々に淘汰されて韓国のオーマイニュースのようになっていけばいいと思う。

江川紹子氏のインタビューでの「ジャーナリズムの理念なんかどうでもいい」とも受け取られかねない堀江社長の発言に反感を覚える人々もいるようだが、彼が言いたいのは、メディアは、余計な自意識や気負いなど持たずに、情報の消費者の目線に徹するのが一番ということで、記事の評価は「思想言論の自由市場」に委ねるに越したことはないということだと好意的に解釈している。既存のいわゆる「進歩的な」メディアの取り組みが、一歩間違うと自分たちの“高尚な”理念の押し付けにつながるきらいがあったのに対して、この堀江氏の姿勢はいい意味で大衆的で健全なジャーナリズムを生み出す可能性を秘めているとも感じる。

ライブドア自身が新しいメディアを体現する必要もない。単なる壊し屋でもかまわない。ホリエモンが風穴を開け、ライブドアが開いた可能性の扉を通って、あちこちで新たなメディアの形が生まれ、やがてはジャーナリズムのみならず文化芸術エンターテイメントその他の分野で多くの潜在的な才能が花開けばいいと思う。今の段階でそこまで期待するのは夢想でしかないかもしれないが・・・

February 25, 2005

感想

相変わらず目が離せないライブドアVSフジテレビ騒動だが、暴論を承知で現時点での感想。

●メディアや放送局は外資による支配を許してはならないという論調が強まっているが、こと報道に関しては、タブーが多すぎて何も書けない日本の既存メディアよりも、変なしがらみのない外資系メディアの方が、タブーや自己規制の呪縛に陥らず自由な報道を内外に発信できるという点で、国民の「知る権利」に資するのではないだろうか。

今のメディアを牛耳っているのは自民党と癒着した連中ばかりだから、自分たち(=自民党)に都合の悪い情報を隠すばかりで、国民の知る権利を阻害している。この構造を崩すために、外資による特定の放送局の支配は必ずしも悪いことではない。

●個人的には、ライブドア=外資の手先とは思わない。堀江社長は自分自身のビジョンを明確に持っているし、その内容を自社のHPで毎日、動画ニュースの形で語っている。ネットの持つ双方向性と誰でも参加できる自由さを既存のマス媒体と融合させるという、彼の言う「シナジー効果」は、少なくとも僕には十分説得的で魅力的である。確かに情報革命とも言うべき、とてつもない可能性を感じる。彼のビジョンに具体性がないなどと批判する前に、彼の声に耳を傾けてはどうだろうか。

●堀江社長の動画ニュースを見ながら思ったのだが、ネット放送があればテレビ局など必要ないのではないか。それこそ堀江氏が一貫して主張してきたことだ。テレビがなくても、彼の会見を何十万もの人々が見ることができる。電波を所有する少数の放送局が情報の受信と発信を独占する時代は終わりつつある。いまやネットさえあれば誰もが情報の発信者になれる。テレビはただその規模がでかいというだけだ。今回の騒動を通して国民の多くがそのことに気づけば、既存の放送局の衰退はますます早まる。

今のテレビの内容は本当につまらない。ニュースは本当のことを伝えていない。これは構造的な問題だ。腐った上司の下で仕事をしていて、面白いものがつくれるわけがない。今のテレビ局は、無能な経営陣の下で制度疲労に陥っている。そのことにますます多くの人々が気づきつつある。たとえ今回ライブドアが負けた(買収に失敗した)としても、ネット放送のコンテンツをどんどん魅力的にしていけば、放送局を乗っ取らずとも、情報産業として長期的には圧倒的な勝利を収めることになるだろう。

●最後に、フジテレビとニッポン放送による「新株予約権発行」措置からも分かるとおり、彼らの頭の中に「株主の利益保護」という発想はない。これは、政治家の頭の中に「国民の権利保護」という発想がないのと同じである。国民を裏切った政府は国民の手によって倒されるのと同じように、株主の利益をないがしろにした経営陣は株主の手によって退陣させられることになるだろう。

February 24, 2005

ライブドアに勝ち目はあるのか?

ニッポン放送のフジテレビへの新株予約権発行という展開について、さまざまなブログでさまざまな観点から議論がされていて、読んでいてとても勉強になる。

現時点での感想は、フジテレビは血迷って致命的なミスを犯したらしいということだ。

今回の処置が、現時点での筆頭株主であるライブドアを排除するためだけの目的でなされたことは明白であり、現経営陣の保身のために既存株主の利益を大きく損なうという、法の精神から大きく逸脱した処置であると言わざるを得ない。

裁判所が今回のような新株予約権発行を許したら、日本は資本主義、市場主義を否定したということになる。国際的にも恥を晒すことになり、国民の司法に対する信頼は完全に地に堕ちる。

そして、判決を待つまでもなく、既存株主のフジテレビ経営陣に対する不信感はどうしようもなく高まる。長期的に見て、今回の行動はフジテレビにとってはマイナスの効果しかもたらさない。

ライブドアとしては、地裁への差し止め請求と並行して、当初の方針どおりニッポン放送株を買い進め、50%を越えた時点で(あるいは他の株主と連携して過半数を制した時点で)臨時株主総会を開き、現経営陣をすべて追放して、フジテレビが予約権を手に入れるまでに、新株予約権を破棄するという方法も考えられる。

つまり、司法が健全な判断を下し、株主が自己の権利に基づいて正当に振舞うという前提の下で、ライブドアには十分に勝算があるとみた。

February 22, 2005

まだまだほりえもん

バッシングを浴びながらもTVに出ずっぱりのライブドア堀江社長だが、彼を出演させているテレビ局側のレベルの低さ、くだらなさを浮き彫りにし、既存メディアの救いようのないダメさ加減を日々明らかにしてくれているようだ。案外それこそが堀江社長の目的なのではないだろうか、とすら感じられる。

なかでも、昨夜の日本テレビ『きょうの出来事』は本当に酷いものだったらしい。生で見れなかったのが残念で仕方がない。

目下のライブドア買収劇をめぐって、というよりも堀江社長自身をめぐって、まさに世論が二つに割れていて、その割れ方が非常に興味深い。

思うに、この世論の割れ方にこそ、今の社会の底にある深刻な対立構造が現れているのではないか。

堀江社長は、「勝ち組、負け組」の分類からすれば、明らかに「勝ち組」である。(今後どうなるかは予断を許さないが・・・)100億の年商を稼ぎ、六本木ヒルズに住み、グルメにレジャーにリッチな生活を満喫している。

にもかかわらず、“ニート”や“引きこもり”のような、堀江社長とは対照的な「負け組」の若者たち、あるいは決して「勝ち組」ではない若者たちが、堀江社長の姿に、単なる羨望を超えた一種のシンパシーを寄せているように思われるのはなぜか。

それはやはり、今の閉塞しきった社会構造に風穴を開け、既得権者を脅えさせ慌てさせる彼の行動に痛快さを感じるからだろう。同時に、若干32歳の堀江氏が、60,70代の老人たちを挑発する図式が共感を呼んでいることは、今の日本社会の最大の対立軸が、労使対立や階級対立ではなく、世代間対立にあることを象徴的に示している。

今週号の『アエラ』に、ライブドアの経営陣についての記事が載っているが、皆30代前半から後半、あるいは20代の幹部もいたりと、驚くほど若い人たちが会社を動かしている。彼らが何百億円もの取引や事業を次々に手がけているという事実は、それはそれで問題があるような気もするが、ここ数年の日本社会における一つの新しい現象であろう。僕には、なんとなく彼らの姿が、明治維新の頃の若い志士たちとダブって見えた。

February 20, 2005

堀江ライブドア社長サンデープロジェクト出演

田原総一郎は持ち上げるかのようなふりをして、ゲストが包囲してよってたかって集中砲火を浴びせていましたね。

結果的には、堀江社長頑張れ、の思いを強めることになりました。

このあと、どうしてもこの人物のことが気になるので、本屋に行って『100億稼ぐ仕事術』(ソフトバンク・パブリッシング)という本を買ってしまった。

半分くらい読み終えたところだが、予想通り、徹底して合理的なマインドの持ち主であり、ビジョンと決断力とバランス感覚を兼ね備えた人物である。まあそうでなければこれほどの成功者にはなれないだろう。個人的には、最初の生い立ちの部分に少しシンパシーを感じた(本質的にぜんぜん違うタイプの人間だと思うが)。彼の最大の強みは、IT(インフォメーション・テクノロジー)の世界に飛び込んだ学生の頃から一貫して、IT革命の可能性を確信しきっていることだと思う。100億稼ごうが、事業に失敗して無一文になろうが、彼のIT革命に対する信念はまったく変わらないだろう。

今回のメディア買収劇について、具体的なビジョンがないだとか色々言われているが、堀江氏が取り組み始めれば、ITと既存メディアを融合して効果的に展開するための具体的なアイディアなど無尽蔵に出てくるに違いない。彼の著書を読めば、単なるマネーゲームのための株式買収などという批判は的外れであるということがよくわかる。彼は本気でフジテレビを欲しているのである

その他の感想はとりあえず全部読んでから。

February 12, 2005

「自分たちが(新聞やテレビを)持ちながら殺していった方が、効率がいい」

ここ数日注目の“ライブドアvsフジテレビ事件”に関連して、面白かったのが、ジャーナリスト江川紹子さんによるこの記事

この中で、彼女が昨年の12月6日に堀江社長に行ったインタビューが掲載されていて、彼は今回の動きの動機や方針、今後の狙いについて実にあけすけに語っている。

堀江氏によれば、ビジネスをやる上でメディアを持つことが利益になるという計算が元々の動機らしい。ロイターやブルームバーグのやり方に習ったのだという。政治や社会、文化のニュースは、いわばおまけのようなもので、ニーズがあれば提供するが、これまでにない独自の報道を行っていこうというような特別な志はない。というよりも、「報道の使命」などという志は「思い上がり」でしかなく有害だと思っている。記事の大きさは人気ランキングで決める。

新聞は持ちたいが、それは今のところ人々が新聞を信用しているから。ゆくゆくはインターネットが既存のメディアに取って代わるので、それまでいわば“ハクをつける”ために発行する。堀江氏に言わせれば、新聞やテレビなどは、早晩死に行くメディアにすぎない。その中にもぐりこむことで、いわば内部から破壊して死期を早めるのが目的。

堀江氏のある種の傲慢なまでの自信を感じさせるインタビューだが、既存のメディアが思い上がり、自意識過剰に陥っており、バイアスのかかった記事しか書けないくせに「報道の使命」などとのたまうのはちゃんちゃらおかしい、という指摘は一面の真理をついている。堀江氏の、自分は徹底して「言論の自由市場」を貫く、という姿勢は潔くすらある。

もちろん、堀江氏が改革派=善で、既存メディアが守旧派=悪、などという単純な図式で語るつもりはない。堀江氏だって、今はリベラルに見えても、これから自分がメディアの中で支配的立場になり、いろいろなシガラミができてきたら、ナベツネ以上のとんでもない権威主義的な人間になるかもしれない。しかし少なくとも、今のところ堀江氏は、既存の大メディアが醜態を晒しているような偽善とは無縁だし、くだらない嘘はつくつもりもないようだ。

要するに、耐用年数の問題なのだろう。今のメディアは、もう絶滅前の恐竜のように、その役割を終えたということだ。その最たるものが、NHKだろう。次のようなニュースを見ても、末期症状というか、アホか、という印象しか持てない。

ラグビー選手権、NHK一転生中継 視聴者から要望相次ぐ

 十二日のラグビー日本選手権のテレビ中継について、日本ラグビー協会が協定に違反したとして生中継を取りやめ、録画放送に変更すると発表したNHKが同日午前、一転して当初予定通りに生中継することを明らかにした。ラグビー協会側が謝罪したことや、視聴者からの要望が相次いだため、NHKは急遽(きゅうきょ)、生中継に戻したという。大学王者の早大が社会人の強豪・トヨタに挑む注目の一戦を待ち望んでいたラグビーファンが、一番振り回された格好だ。

 ラグビー協会の日比野弘会長代行は同日会見し、「NHKと事前に協議しなかったわれわれに非がある。全国のラグビーファンにご迷惑をかけてしまい、申し訳ない」と謝罪した。

 日本選手権はNHKと日本ラグビー協会の共催で、広告の変更などがあればNHKに報告することが協定で定められている。しかし、ラグビー協会が、朝日新聞と昨年秋にスポンサー契約を結び、審判のジャージーの胸に同社の広告が入ることを事前にNHK側に知らせていなかった。

 今月に入ってこれを知ったNHK側は広告を外すようラグビー協会側に求めたが折り合いがつかず、午後二時から生中継する予定だった日本選手権準々決勝のトヨタ自動車−早大戦について、前日の十一日になって番組変更を発表、十三日午前二時からの録画放送に切り替えるとしていた。

 日比野会長代行らによると、生中継の条件としてNHK側は、文書での謝罪とともに、朝日新聞の広告を外すよう求めているという。これを受け、ラグビー協会側は文書で謝罪するとともに、朝日新聞側に広告を白紙に戻すようお願いするとしている。

 朝日新聞側は「現段階ではコメントを差し控えたい」と話している。

 十三日午前二時の録画放送については再変更することなく、ラグビーを放送するという。準決勝、決勝の放送は今後、NHKとラグビー協会で協議していく。

12日15時18分

January 19, 2005

ジャーナリストやメディア関係者によるNHK問題に関する記者会見とアピール

NHK特番問題:「表現の自由守れ」 メディア関係者会見

 旧日本軍の慰安婦問題を扱ったNHKの特集番組で政治介入があったと長井暁チーフプロデューサーが会見したことを受け、同番組の出演者を含むメディア関係者らが18日、参院議員会館で会見し、「表現の自由を守れ」と訴えた。
 同番組の企画に携わった映像ジャーナリストの坂上香さんは「長井さんの話を聞いて納得した。非常に問題なのはメディアの自主規制。政治家にお伺いを立てる姿勢はメディアの自殺行為だ」と指摘。同番組にコメンテーターとして出演した高橋哲哉東大教授は「政治的圧力で改ざんを強いられたのは間違いないと思う。悔しい思いをしているNHKの番組制作者は長井さんに続いて証言してほしい」と呼びかけた。【NHK問題取材班】
(毎日新聞 2005年1月18日 19時44分)

ビデオニュース・ドットコムで、この記者会見の模様を見ることができる。

会見の詳しいレポートはこちら

こういう形のアピールは必要だし、大切なことだと思うが、この事件も、これまでのさまざまな問題と同様に、結局のところウヤムヤにされてしまうのではないかという懸念を感じる。

そうならないためのほとんど唯一の方法は、NHKにもう一人の内部告発者が現れることであろう。

その他のジャーナリストにできることは、執拗に取材を重ねて、さまざまな状況証拠を積み重ねて、客観的な真実を明らかにしていくことしかない。できるだけ多くの証言、そしてできうるならば、文書の存在を突き止めること。

抽象的な理想をいくら語ってもダメだ。具体的な証拠を提示して、たった一つの真実を立証すればそれでいい。

一点突破、全面展開だ。方法はそれしかない。

January 18, 2005

安倍晋三氏の事実歪曲発言について VAWW-NETジャパン抗議声明

安倍晋三代議士の言い分だけを延々と垂れ流すマスコミ。

長井CPの記者会見後に安倍が出演したTV番組。「報道ステーション」(1/13放送)、「ニユース23」(1/13放送)、「サンデーモーニング」(1/16放送)、「サンデー・プロジェクト」(1/16放送)。

これらの、全国ネットの、数千万の視聴者がいるTV番組は、安倍氏の事実誤認に基づく一方的な言い分だけを何のチェックも施さず垂れ流し続けた。安倍氏に対して、以下の事実誤認を明白に指摘できたインタビュアー、コメンテーターは誰もいなかった。

権力に過剰に阿る体質は、NHKだけでなくどのマスコミも変わらない。朝日新聞も、徹底的に戦うつもりはなく、適当なところで収束を図るつもりだろう。

それにしても、最低限、当事者の言い分として以下の内容を各マスコミは伝えるべきだろう。

放送法

(放送番組編成の自由)第3条 放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。(国内放送の放送番組の編集等)第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

(以下転載。下線、太字は引用者による)

安倍晋三氏の事実歪曲発言について
VAWW-NETジャパン抗議声明

このたび、政治家によるNHKの番組介入が問題になっており、「政治家」として名前が上がっている安倍晋三氏と中川昭一氏が、複数のメディアを通じてコメント、または発言を行っています。中川氏は国内不在ということもあり、彼の発言の多くに触れることはできませんが、安倍氏はこの間、頻繁にマスコミに登場し発言を行っています。その中で、安倍氏は、女性国際戦犯法廷の事実関係について重大な事実歪曲、誹謗・中傷を続けていますが、それに対してマスメディア側は知識不足、勉強不足のためほとんど事実の間違いを指摘することができず、そのまま一般市民に垂れ流されているという状況にあります

歪曲された事実があたかも真実であるがごとく日本の市民の皆様に伝わっていくことは、女性国際戦犯法廷と「法廷」を主催した国際実行委員会の名誉を大きく傷つけるものであり、何より「法廷」に正義を求めて被害8カ国から参加された64名の被害女性の尊厳を甚大に侵害するものです。「法廷」には世界三十カ国以上から約400名が参加し、三日間の審理にはおよそ1000人が傍聴し、最終日の判決概要に言い渡しはおよそ1300人が傍聴しました。「法廷」の歪曲と侮辱は、こうした多くの人々に対しても許されない行為です。

安倍氏のこうした発言は、自らの行為を正当化するため、番組で取り上げた女性国際戦犯法廷自体を貶めることで世論を味方につけようとしているものです。問題の論点のすり替えが「法廷」の事実歪曲をもって行われていることは、今回の事件の真相を明らかにする上でも大変問題であり、このことは、真実を明らかにする上で危険な流れであるといえます。

  マスコミの皆様には問題の核心(番組に対する政治家の介入)を見失うことなく真実を明らかにし、ジャーナリズムの役割を果たしていただきたく存じます。そのためには女性国際戦犯法廷の事実関係を正確に理解して頂くことは重要、不可欠なことであると考え、皆様に正確な事実を知っていただくため、ここに安倍発言の間違いを指摘いたします。

※以下に示す安倍氏の発言は、「報道ステーション」(1/13放送)、「ニユース23」(1/13放送)、「サンデーモーニング」(1/16放送)、「サンデー・プロジェクト」(1/16放送)などにおける発言、及び安倍氏が出したコメントに基づいています。

1、「被告と被告側の弁護人がいない」

⇒ 女性国際戦犯法廷は、「日本国家の責任」を問うため、開催2ヶ月前に全裁判官の名前で、当時首相であった森喜朗氏に被告側弁護人(被告代理人)の出廷を要請した。しかし、開催直前になっても何の応答もなかった。従って裁判官は「アミカスキュリエ」(法廷助言人※)という形で被告側の弁護を取り入れた。「法廷」では3名の弁護士がアミカスキュリエとして被告側主張を行い、「慰安婦」問題についての日 本政府の立場や主張を明確に紹介し、被告が防御できない法廷の問題点を法廷のなかで指摘した。

※Amicus Curiae 裁判所の求めに従い、裁判所に対し事件についての専門的情報または意見を提出する第三者。英国の制度で、弁護人がいない場合、市民の中から弁護人を要請できるという制度。

2、「裁判自体、とんでもない模擬裁判。模擬裁判ともいえない裁判」

⇒ 女性国際戦犯法廷は「模擬裁判」ではなく権力を持たない市民の力によって実現した国際的な民衆法廷である。法廷に出廷した被害証言者も、加害証言者も、被告人も、判事も、すべて“実在する/した”人物であり、「法廷憲章」作成という手続きを踏んで、膨大な証拠資料と証言に基づいて当時の国際法を適用して裁いた民衆法廷だった。「国家の法廷」のように「国家」に権威の源泉があるのではなく、大国やエリートの道具だった国際法を市民の手に取り戻し、被害者を置き去りにしない正義の実現を目指し、「国家の権威から無縁」であることによって得られる「普遍的正義」を明らかにしようと、民衆法廷の開催を決意した。本法廷の意義はここにあるといえる。「法廷」は、権力をもたない市民の力で、「慰安婦」被害者に被害をもたらした加害者と加害事実を明確に示し、その責任を当時の国際法により明らかにした。繰り返すが、女性国際戦犯法廷は民衆法廷であり、模擬法廷ではない

 1999年に国際実行委員会を結成。ソウル会議、上海会議、マニラ会議、台北会議などでどのような「法廷」にするのか議論し、準備を進めていった。まず着手したことは「法廷憲章」(前文と十五条の条文から成る。※1)の制定であった。「法廷」は「法廷憲章」に基づき、立証と共に各国の被害者の証言や元日本兵の証言、専門家証言などを行い、膨大な証拠資料や宣誓供述書を提出し、それに基づいて判決が下された。

 判決は2001年12月4日、オランダのハーグで言い渡された。判決は1094パラグラフ(英文265ページ)にわたる膨大なもので、この判決は日本だけでなく世界の国際法や人権に取り組む専門家、学者たちからもレベルの高さが評価されている。

  女性国際戦犯法廷の開催については、国連人権委員会特別報告者クマラスワミ報告書にも引用(※2)された。また、2003年に発表されたILO条約適用専門家委員会所見は、「女性国際戦犯法廷」について、より詳細な引用と解説を行った。

 また、「法廷」は、国際刑事裁判所(ICC、1998年ローマで設立合意、2003年から オランダ・ハーグで始動)に先駆けて、戦争と武力紛争下の性暴力に対して果たすべき役割を明らかにした世界史的にも意義ある試みであった。

※1「法廷憲章」は、前掲のVAWW-NET Japan編『女性国際戦犯法廷の全記録[Ⅰ]』緑風出版、27~32頁を参照。
※2 2001年。「武力紛争下において国家により行われた、または容認された女性に対する暴力報告書(1997-2000)(E/CN.4/2001/73)」

3、「主催者である松井やより」

⇒ 女性国際戦犯法廷の主催は松井やよりではない。主催は国際実行委員会であった。国際実行委員会は日本と被害国(6カ国)、国際諮問委員会(第三国から国際法の専門家6名が委員)で構成され、それぞれの代表者で共同代表が構成された。松井やよりは日本の代表として共同代表の一人であった。

4、「裁判を始める時、主催者の松井やよりさんが、裁判の会場を九段会館に決めたのは悪の根源である皇居に一番近いからだと明言した」

⇒ 女性国際戦犯法廷の初日、まず、国際実行委員会の共同代表3人(松井やより、尹貞玉、インダイ・サホール)が挨拶した。「裁判を始める時」というのはこの時の挨拶を指していると思われるが、松井はそのような発言は全く行っていない(※)。

※VAWW-NET Japan編『女性国際戦犯法廷の全記録[Ⅰ]』緑風出版、38~39頁を参照。
ちなみに九段会館を会場にしたのは、1000名規模の人が集まれる会場と、300名規模の宿泊ができる施設が併設していたからであり、予約を快く了承してくれる施設はここだけだった。

5、「最初から結論ありきはみえみえ」

⇒ 女性国際戦犯法廷は民衆法廷といっても、世界の五大陸から選ばれた世界的に信頼の高い国際法の専門家や旧ユーゴ国際刑事法廷の裁判官ら(※1)によって、当時の国際法を適用して、被害者・専門家・元軍人の証言や膨大な証拠資料(日本軍・日本政府の公文書等を含む証拠文書)に基づき厳正な審理を経て、判決が出されたものである。

判決は、まず2000年12月12日に「認定の概要」が公表され、一年の休廷を経て2001年12月にオランダ・ハーグにて「判決」が下された(※2)。主催者に対しても「認定の概要」および「判決」は発表まで全く知らされず、「結論先にありき」という発言は根拠なき誹謗中傷であり、「法廷」の事実に基づかない。また、旧ユーゴ国際刑事法廷で裁判長をつとめたマクドナルド氏などの本法廷の裁判官たちの名誉を著しく傷つけるものである

※1 <裁判官> ガブリエル・カーク・マクドナルドさん(アフリカ系米国女性/旧ユーゴ国際刑事法廷の前所長)、クリスチーヌ・チンキンさん(イギリス人女性/ロンドン大学国際法教授)、カルメン・マリア・アルヒバイさん(アルゼンチン/アルゼンチンの判事/2001年国連総会で、旧ユーゴ国際刑事法廷の判事に選出/現国際刑事裁判所判事)、ウィリー・ムトゥンガさん(アフリカ人男性/ケニア人権委員会委員長)、インド人男性の裁判官は病気のため欠席
※2 <判決文全訳>に関しては、VAWW-NET Japan編『女性国際戦犯法廷の全記録[Ⅱ]』緑風出版を参照。

6、「(女性国際戦犯法廷)は謀略。当時、拉致問題が問題化しているなかで、北朝鮮を被害者の立場にすることで、この問題の鎮静化を図ろうとしていた。大きな工作の中の一部を担っていた」

⇒ そもそも拉致問題が問題化したのは2002年9月17日の日朝首脳会談以後のことで、「法廷」が開かれたのは2000年12月である。2000年12月時点で表面化していない拉致問題の鎮静化を図るため、北朝鮮を被害者の立場にした工作活動の一環として「法廷」を開催したなどというのは、事実無根の誹謗・中傷である。 日本は朝鮮半島を植民地として支配したが、朝鮮人女性は植民地支配の一環として日本軍の「慰安婦」にされたのである。しかし、日本は北朝鮮に対しては2000年当時いかなる意味でも謝罪・補償をしていない。そのため「法廷」の主催者である国際実行委員会が被害国検事団への参加を呼びかけたのであり、その呼びかけに応じて北朝鮮が参加した。その参加のし方は、他の被害国各国と同じである。

7、「検事に北朝鮮の代表者が二人なっている。工作活動していると認定されている人たちを裁く側として登場させているというのも事実」

⇒ いうまでもなく“裁く”のは「検事」ではなく裁判官。安倍氏の発言は事実と法常識を逸脱している。念のため、女性国際戦犯法廷の検事について補足する。まず、被害国を代表した首席検事はアフリカ系米国女性のパトリシア・セラーズさん(旧ユーゴとルワンダの国際戦犯法廷のジェンダー犯罪法律顧問)と、オーストラリアのウスティニア・ドルゴポルさん(国際法学者/国際法律家委員会のメンバーとして、「慰安婦」問題について調査し、勧告をまとめた)。

 次に、そもそも北朝鮮検事団というのは存在しない。2000年6月の南北首脳会談(金大中大統領=当時と金正日軍事委員会委員長)をきっかけに、北朝鮮と韓国は一つとなって「南北コリア検事団」(韓国から5人、北朝鮮から4人、計9人で構成)が 結成された。南北コリア検事団長は韓国の検事(朴元淳)であった。安倍氏に「工作員」と名指しされた黄虎男氏は、2000年当時「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会の事務局長であった。

なお、「法廷」には各国から検事団が参加した。南北コリア(韓国と北朝鮮)だけでなく、ほかに中国、台湾、フィリピン、インドネシア、日本も検事団が参加した。検事団は組まれなかったが、オランダ、東チモールからも被害者の証言が行われた。(マレーシアはビデオ証言)

■補足 番組の中の秦郁彦コメントについて

・ 番組は、秦郁彦氏を「法廷に参加した歴史家」と紹介しているが、秦氏は三日間の審理を傍聴してはいない。彼が参加したのは最終日の判決概要の言い渡しだけ。従って、発言内容は事実誤認が見られ、秦氏の歴史認識と法廷の事実関係が混同し、誤った事実を視聴者に伝える内容があった。

・ 一事不再理を主張しているが、「慰安婦」制度については東京裁判では裁かれていない。女性国際戦犯法廷は民衆法廷であるが、位置づけは東京裁判の継続裁判。

以上、安倍氏の発言の事実関係の誤りをいくつか取り出して指摘しましたが、更に正確、詳細にお知りになりたい場合は、『女性国際戦犯法廷の全記録Ⅰ』(※審理の記録)『女性国際戦犯法廷全記録Ⅱ』(※起訴状、判決全文掲載)などを参照してください。

※この2冊は共に緑風出版から刊行されています。ちなみにこれは全6巻シリーズの一部であり、このシリーズは出版社としては名誉ある梓賞を受賞しました。

皆様が論点をずらされることなく、事実誤認の情報にとらわれることなく、政治家の番組介入の問題を正面から取材し、真実が明らかにされるまで、いかなる政治的圧力に影響されることなく、屈することなく、真実と正義を追求していただきますことを、心から願っております。

2005年1月17日

「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク

(VAWW-NETジャパン)

January 16, 2005

NHK番組改竄問題:当事者の証言

話題沸騰中の、NHK「女性国際戦犯法廷」番組改竄問題については、雑誌「創」2001年5月号にバウネット・ジャパン副代表西野瑠美子氏が、同誌2002年1・2月号に製作会社ドキュメンタリー・ジャパンで同番組の担当ディレクターをしていた坂上香氏が、それぞれ詳しい経緯を書いている。

西野氏によれば、放送後に、吉岡民夫教養番組部部長と遠藤絢一番組制作局主幹は、番組直前に行われた局長試写について、次のように述べたという。

「局長試写は決して異例なことではない。必要に応じて局長が試写することはよくあることだ」

また、坂上氏によれば、当該番組に関しては、1月19日と1月24日に、部長試写が行われていた。

そこで教養部長は激怒し、「お前らにハメられた」「このままではアウトだ」「完全なボタンの掛け違え」などと発言し、番組そのものを否定するような指摘をしたが、具体的な改善点はまったく提示しなかったため、関係者間で部長の意向を推測しながら、修正点を検討し、アナウンサーのコメントの撮り直しを行ったりしたという。

坂上氏の文章には、問題の放送日前日の「局長試写」に至る以前にも、激しい改変が繰り返されたことが生々しく描写されている。これは「編集権の自由」などというものではなく、明らかに外部からの圧力による不自然な改変であった。

坂上氏はさらに、その後彼女が関わった番組「希望の法廷-地域で向き合う少年犯罪ー」においても、放送2日前になって突然、何の前触れもなく放送延期の判断が下されたことについて、そこに至るさまざまなNHK内部の過剰な「自主規制」についても書いている。

「氷山の一角」という念をますます強めざるを得ない。

坂上氏の文章の一部はここで読むことができる。

例の番組から削除された元兵士による加害の証言。これは必読だろう。


そして、元NHK記者の証言。
「NHKと政治」講演 元NHK記者 川崎泰資・椙山女学園大教授

January 14, 2005

雑感

現在の日本社会の病の原因の一つは、権力をチェックするメディアが存在しないことにある。国民はきつい情報統制下に置かれている。その情報統制の総元締めとも呼ぶべき存在が今のNHKである。

長井CPの発言の中で最も重要な部分は、「海老沢勝二会長体制になってから政治介入は恒常化している」というところだと思う。

つまり、2001年1月30日のNHKスペシャルは、氷山の一角にすぎないということだ。

政権政党(自民党)と一体化したNHK政治部により、現場が製作したドキュメンタリーや報道番組が事前にダメ出しを受けるというケースが繰り返されてきたことは想像に難くない。それで、現場も自然と「こういうものを作ってもどうせオンエアできない」と諦めて、“自主規制”が働くようになってきたのだろう。最近のニュースなど、本当にひどいものだ。

政治家の圧力によって番組内容が改編されたなどというのはまだマシな話で、2001年以降は、会長-政治部‐番組制作局のラインが自民党と完全に一体化し、圧力を受けるまでもなく、完全に政府自民党の意向に沿った番組しか放送しない体制になっていたのである。

それを「編集権の自由」や「客観中立な視点」といくら言い繕ったところで、もはやNHKは御用メディアとして政府広報を垂れ流す役割しか果たしていない。間違っても「不偏不党の独立した報道姿勢」など期待してはならない。

NHKに受信料を貢いで視聴させていただいているわれわれには北朝鮮の国営放送を哂う資格はないのである。

NHK番組改竄問題:中川発言の明白な矛盾

(朝日新聞1月12日報道より引用)

 ・・・一方、中川氏は朝日新聞社の取材に対し、NHK幹部と面談したことを認めた上で「疑似裁判をやるのは勝手だが、それを公共放送がやるのは放送法上公正ではなく、当然のことを言った」と説明。「やめてしまえ」という言葉も「NHK側があれこれ直すと説明し、それでもやるというから『だめだ』と言った。まあそういう(放送中止の)意味だ」と語った。

(引用終わり)

(同紙1月23日報道より引用)

 ・・・中川氏も同日夜、「NHKが説明に来たのは(放送3日後の)2月2日。放送内容の変更や放送中止に関しては一切言っていない」とのコメントを発表した。

(引用終わり)

NHK側があれこれ直すと説明し、それでもやるというから『だめだ』と言った。まあそういう(放送中止の)意味だ」という発言は、放送後の話し合いについてのものではありえない。

中川氏は、わずか1日で発言の内容がまったく異なることを、どう説明するのだろうか?

すぐバレる嘘はつかない方がいい。

長井CPの会見の模様は、ビデオニュース・ドットコムのサイトから見ることができる。

まだ見ていないが、NHKスペシャル『狂牛病感染はなぜ拡大したのか』の再放送中止の件など、他にも重要な証言がなされているようだ。マスコミは肝心な部分を報じていない可能性もあるので、全部見る必要がある。

(以下、安倍晋三ホームページより引用)

朝日新聞の記事『NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」幹部呼び指摘』に関し、

朝日新聞らしい、偏向した記事である。

この模擬裁判は、傍聴希望者は「法廷の趣旨に賛同する」という誓約書に署名しなければならないなど主催者側の意図通りの報道をしようとしているとの心ある関係者からの情報が寄せられたため、事実関係を聴いた。その結果、裁判官役と検事役はいても弁護士証人はいないなど、明確に偏った内容であることが分かり私は、NHKがとりわけ求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した。これは拉致問題に対する鎮静化を図り北朝鮮が被害者としての立場をアピールする工作宣伝活動の一翼も担っていると睨んでいた告発している人物と朝日新聞とその背景にある体制の薄汚い意図を感じる

今までも北朝鮮問題への取り組みをはじめとし、誹謗中傷にあってきたが、私は負けない。

安倍晋三

PS
これからも頑張ります。
ご声援・ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

(引用終わり)

これが安倍代議士本人の言葉であるとはちょっと信じ難い。あからさまに特定のメディア(朝日新聞)を敵視し、罵倒し、「工作宣伝活動」とまで呼んでいる。明らかに政治家としてのバランス感覚を欠いた、「ボクに逆らう奴はゆるちゃないゾー」とでも言いたげな、幼稚きわまるメンタリティである。おそらく、頭に血の上った安倍代議士の信奉者によるコメントであろう。それにしても、こんな単細胞な文章を自己の名でHPに載せてしまうのはマズイ。彼の前途が危うくなるだけだ。即刻削除したほうがいい。

January 13, 2005

NHK番組改竄問題:担当CPが記者会見

NHKの、政治圧力による番組改竄の問題について、13日午前、当該番組の担当プロデューサー長井暁氏が記者会見を行なった。是非その模様を最初から最後まで放映してほしいものだ。報道によると、長井氏が明らかにした事実は以下のとおり。

・ 番組制作に当たって、右翼団体などから「放送中止」の要請があった。
・ 放送日の数日前に、NHKの国会対策担当局長の野島直樹氏(現・理事)が、中川昭一現経済産業大臣に呼び出されて、「ガンガンやられた」。
・ 番組は放送2日前の2001年1月28日深夜に、通常の編集作業を終え、完成していた。
・ 放送日の前日である1月29日の午後、野島局長はNHK放送総局長松尾武氏(現・NHK出版社長)を伴って、中川代議士と安倍晋三現自民党幹事長代理を訪ね、「番組内容を変更するので、放送させてほしい」と説明した。
・ 同日午後6時過ぎに、松尾局長、野島局長、伊藤律子番組制作局長が、「局長試写」を行なった。
・ その結果、「天皇に責任がある」とした民衆法廷結論部分などをカットし、民衆法廷に批判的な識者のコメントを加えるなどの改編が指示された。
・ さらに翌日、1月30日の放送日当日にも、元慰安婦の証言部分など3分間のカットが指示され、通常44分の番組が、40分という“短縮版”としてオンエアされた。
・ 海老沢勝二会長は、担当局長から、逐一報告を受けていた。会長宛てに作成された報告書も存在している。
・ 長井CPは、これらの経緯を、NHKの「コンプライアンス(法令順守)通報制度」に基づき、2004年12月9日に内部告発した。
・ しかし、通報から1カ月以上たった今日にいたっても、聞き取り調査さえなされていないため、本日記者会見を行なうに至った。

長井CPは、「海老沢勝二会長体制になってから政治介入は恒常化している。職員の不祥事より重要な問題だ。会長と役員は総退陣すべきだ」と訴えた。

ちなみに、中川昭一代議士は、当時「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表で、安倍晋三代議士は、当時、官房副長官であり、同会の事務局長を務めたことがあった。

ちなみに、海老沢会長の父親は故橋本登美三郎代議士(橋本龍太郎代議士の父親)の後援会長。橋本氏を仲人にして佐藤栄作夫人の姪と結婚している。

感想: こんな偏向した放送局に受信料は払えません。局長級以上を全部取り替え、かつ、現政権批判のニュースをガンガン流すようにならない限り、信頼は戻ってきません。長井CPには心より敬意を表します。

ちなみに、

〈NHK広報局の話〉
 当時の担当者が様々な国会議員に対して、事業内容などを説明した際に、この番組について話題になったことは事実。しかし、これによって、番組の公正さ・公平さが損なわれたということはない。編集責任者が自主的な判断に基づいて編集して放送した。コンプライアンス推進室は通常の手続きに従って調査をしている。調査の途中経過については通報者に知らせている。

January 12, 2005

NHK番組改竄問題

今朝の朝日新聞に、NHKの番組改竄についての大きな記事が載っている。
あらましは以下のとおり。

① 改竄された番組は、2001年1月30日に放映されたもので、「従軍慰安婦」(性奴隷 sex slave)と天皇の戦争責任の問題を扱うものだった。同番組は、2000年12月に市民団体が開いた「女性国際戦犯法廷」をもとに製作されたもので、同法廷は、「日本軍性奴隷制が女性に対する戦争犯罪であった真相を明らかにし、被害女性たちの尊厳を回復」することなどを目的として開催されたものであった。

② 放送前日に自民党の安倍晋三と中川昭一がNHKの幹部を呼びつけ、放送中止と番組内容の改変を迫り、「一方的な放送はするな」「公平で客観的な番組にするように」「それができないならやめてしまえ」などと発言した。

③ その結果、緊急の「局長試写」が行われ、(1)天皇に有罪判決を下した“民衆法廷”に批判的立場の専門家のインタビュー部分を増やす(2)「日本兵による強姦や慰安婦制度は『人道に対する罪』にあたり、天皇に責任がある」とした民衆法廷の結論部分などを大幅にカットする、などの改変が加えられた。さらに放送当日夕には中国人元慰安婦の証言などのカットを指示。番組は40分の短縮版が放送された。

④ これらの経緯を、番組に対する政治介入であるとして、当時の番組担当デスク(番組制作局チーフ・プロデューサー)が、2004年末、NHKの内部告発窓口「コンプライアンス推進委員会」に訴えた。

というもの。

この件では、主催団体を原告として訴訟が行なわれており、2004年3月24日に東京地裁の判決が出ている。判決は、NHKの改変は「編集権の自由」の範囲内であるとした上で、原告側の「信頼利益」を侵害したとして、孫請け製作会社に損害賠償の支払を命じた。
原告側は不服として控訴している。

また、BPO(放送倫理・番組向上機構)への番組出演者からの申立てに対しても、2003年3月31日に決定が下されている。決定内容 

だから、今回の報道で新しい事実は、②と④の部分、すなわち、②自民党の安倍・中川両代議士による圧力があったという事実と、④2004年末になってCPが内部告発に訴えたという事実にある。

そういえば、この前の特番で、不祥事への対応として「コンプライアンス推進委員会」を設置したようなことをエビサワ会長が語っていた。早速その効果が出たということか。
このような現場からの訴えが今後大きな動きになっていくことを期待したい。

しかし、裁判の過程ですらこうした経緯が明らかにならず、今になってようやくこうした事実が出てきたというところに、NHKの深い隠蔽体質を感じる。

December 25, 2004

NHK受信料集金人との対話(1)

先月から、NHKの受信料の口座振込みを解約したのだが、今日になって、NHKの集金人が我が家を訪問した。

15分くらい話しただろうか。これからも長いお付き合いになるかもしれないので、記録に残しておくことにしようと思う。

(以下対話部分の要旨)

J「NHKはまったく見ていませんから・・・」

N「見ている見ていないに関わらずご負担いただくものですので・・・」

J「個人的には、今のNHKに受信料を払うことはNHKのためにならないと考えます」

N「お気持ちはよく分かりますが、今お払いいただけないと、今後、制度が変わった場合に・・・」

J「制度が変わるというのは、強制徴収になるということですか?」

N「それはまだ分かりませんが・・・」

J「失礼ですが、NHKの職員の方ですか?」

N「いえ、職員ではなく、集金の委託を受けている者です」

J「NHKの検証番組を見たが、あれではまったく納得できません」

N「それは私どもも同じです。私どもも戦っているところです」

J「戦っているというのは、どういうことですか?」

N「・・・(言葉を濁す)、とにかく、お支払いしていただかない、というわけには参りませんので・・・」

J「戦うというのが、今の経営陣やトップに対して戦うということなら、私もその戦いを支援したいと思っています。そのためには、今受信料を払うことは、支援することにはならないと考えます」

N「いえ、そういう話にはなりませんので・・・」
 「来年には会長も辞任するという噂もありますし・・・」

J「申し訳ありませんが、現時点では支払う気持ちにはなれません」

N「ではまた来年にでも伺います」

・・・今度から、もっときっちりと記録するようにしよう。

December 20, 2004

これからのNHKについて

メディアやブログを通じて昨夜の『NHKに言いたい』放映のリアクションを見る限り、あの番組で納得できたという人は皆無に近い。ガス抜きの効果すらなく、かえってガスを充満させ、結果的に爆発への導火線に火を点けてしまった可能性が高い。

NHKへの批判については、いくつかのレベルに分けて論じることが必要だ。

① まず、不祥事はけしからん。汗水流して稼いだ金で払った受信料を私用に使われるなどもってのほか。けしからん奴は厳罰に処せ。さらに不正がなされないよう監視体制を厳しくせよ。というもの。

② 次に、受信料制度自体がおかしな制度だから、なくしてしまえ。民放がこれだけあるのに、国民の受信料で成り立つ公共放送は必要ない。NHKを民営化せよ。というもの。

③ そして、NHKにはこれからも公共放送として民放にはできない良質な番組を作り続けてほしい。そのためには、今の体制を一新すべき。という意見。

この三つがごちゃごちゃになって、今のNHKに対する“国民の怒り”を構成している。

ここで、気をつけなければならないのは、①と②の批判は、かえってNHKの状態を悪化させるおそれがあるということだ。

海老沢は、①の批判を逆手に取り、社内の相互監視体制をますます強化し、「改革のため」と称して、より一層の独裁体制を固める可能性がある。

さらに、②の批判を逆手に取り、国民の「性善説」に立った受信料そのものが不合理であるから、強制徴収に切り替える、つまり税金と同じ扱いにする、という方向に持っていく可能性がある。現に、番組中に海老沢はその可能性を仄めかしていたし、「NHK国営化論」(NHKを、公共放送ではなく、国営放送として、国の機関の一部とし、会長が閣僚と同じ地位となること)は海老沢の密かな持論でもある。もう事実上そうなっているという話もあるが・・・

だから、批判は、あくまでも③の線に沿ったものでなければ、下手をすると、今回の騒動をきっかけに、われわれはNHKという怪物メディアを完全に政府の手に委ねることになるかもしれない。

焦点は、政府の介入を招くことなく、現在の海老沢独裁体制を崩壊させることにある。個々の職員の不祥事や受信料制度の問題を論点にすることは、海老沢の術中に嵌ることにしかならない。

December 19, 2004

NHK―最悪の選択

いやあ、凄かったっすね、NHK。

NHKに言いたい

放送時間の関係上、お寄せいただいたご意見のすべてをご紹介することはできませんでしたが、いただいた一通一通をもとに、信頼回復に向けた第一歩を踏み出したいと存じます。

 ありがとうございました。

こんな番組を2時間15分も見続けた自分にも責任はあるが、海老沢のあのヌメッとした顔が夢に出てきそうで怖い。
ゲストコメンテーターの誰もが“辞任せよ”と陰に陽に説得し続けているのに、まったく聞こえないかのように最後まで「これからもよろしく」と繰り返すことのできる神経。
司会の人は途中から、公共放送に政治的介入を招くいい口実を与えるのでは、と真剣に心配していたようだ。

海老沢は、受信料制度を改革し、支払いを強制する制度にするか(支払わない者は罰金)、国営にして税金で賄うことにする、その道筋をつけるまでは辞めない、と匂わせていた。
つまり、受信料を払わない、という抵抗手段が、逆手に取られる可能性があるということだ。

NHKは、ルビコン川を渡ってしまったようだ。ということは、日本のメディアが、国民と共に、ポイント・オブ・ノーリターンまで来てしまったのではないか、という懸念を抱かせるに十分の番組であった。

ちなみに、電話もFAXも2時間まったくつながらなかった。「視聴者の声」を届けることができなかったのが残念だ。

November 07, 2004

私物化された公共放送――海老沢に乗っ取られたNHK

本日NHKが組んだ24時間放送の特番生放送は、海老沢勝二会長の辞任要求を決定する組合集会つぶしのためであったことが分かった。

自己保身のために公共の電波を好き放題に利用する海老沢会長の存在じたいが、NHK最大の不祥事である。

こんな男は、即刻辞めさせなければならない。日本のメディアはどこも腐り切っているが、NHKがいちばんひどいことがはっきりした。

何が皆様のNHKだ。海老様のNHKの間違いだろうが。俺は本気で怒っている。世界では重大な出来事が絶え間なく起こっているというのに、国民を必要な情報から遮断する役割しか果たしていない。旧東欧共産国家や北朝鮮のメディアと同じじゃないか。

こういう人間をいつまでものさばらせておくわけにはいかない。全国民は受信料の支払いを拒絶すべきだ。

<NHK>日放労の不祥事シンポ 24時間特番で妨害?

 NHKの労働組合「日本放送労働組合」(日放労、長村中(おさむらみつる)委員長、組合員8500人)は7日、一連の不祥事で失った信頼を回復するためにNHKはどうあるべきかを問うシンポジウムを東京都内で開いた。
 会場には約270人が詰めかけたが、一般組合員の参加は約50人だけで、組合員の多くは6日夜からのNHKの24時間特別生放送番組のために出席できなかった。日放労では9日に海老沢勝二会長の辞任要求を決定する予定だけに、シンポジウムでは「急きょ決まった特別番組は、組合活動妨害ではないか」との声が上がった。
 シンポジウムには、ジャーナリストの田原総一朗さん、立教大の服部孝章教授、連合の笹森清会長らが出席。NHK再生のために、経営委員会の権限強化や、外部の意見を取り入れたNHK問題の検証番組作りの必要性などが提起された。
 1カ月前に決まったシンポジウム開催日に合わせるかのように、24時間特別番組が1週間前に決まったことが取り上げられ、田原さんらは「組合つぶしとしか思えない」と批判した。日放労では当初、会場は組合員で満席になることを想定していたという。またNHKがこのシンポの取材に来ていないのはおかしいとの指摘もあった。
 同番組は、台風や新潟県中越地震などの被災者支援を目的に、全国の54放送局を結んだ同局初の24時間生放送キャンペーン番組。海老沢会長は4日の定例会見で「(10月)30日に新潟の被災状況を視察し、翌31日に緊急理事会を開いて放送を決めた。(シンポジウム妨害との指摘があるが、との記者の質問に対しては)関係ないでしょ。何でそんな勘繰りをするのか。(24時間番組は)NHKとして当然の仕事だ」と説明している。
 NHK経営広報部によると、7日午後8時に終了した24時間番組には、新潟などの被災地から1100件以上の声が電話やファクスで寄せられたほか、全国から1万件以上の励ましのメッセージが届いた。また時間内に4000万円以上の義援金が集まったという。【木村知勇、内藤陽】(毎日新聞) - 11月7日21時48分更新

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今日の一曲
Pretty Vacant / Sex Pistols

松川事件の最高裁判決の夜に広津和郎氏と植松正氏の対談番組を放送したあのNHKはどこへ行ってしまったのか。俺に初めてジョニー・ロットンのシャウトを聴かせてくれたNHKはどこへ行ってしまったのか。
エビサワが諸悪の根源である。何としてもこいつの首を取らないといけない。
俺は本気で怒っている。NHKの職員も本気で怒っていることを願う。