« 『懲戒除名 “非行”弁護士を撃て』 | Main | 判決と怪文書 »

February 01, 2005

三井環氏に実刑判決

元大阪高検公安部長で、収賄や公務員職権乱用などの罪に問われた検察裏金告発者、三井環氏に対する大阪地裁の判決は、懲役1年8カ月、追徴金約22万円(求刑懲役3年、追徴金約28万円)の実刑であった。

民主党の河村たかし国会議員に送られた内部告発文書(?)によれば、懲役1年ということだから、大きくは違っていない。文書では、実刑と認定する判決の骨子として以下のように述べられている。

「三井被告の女性をあてがった収賄など、一部については無罪。
暴力団関係者の証言は信用性がないが、三井被告が暴力団関係者に助言した事実は認められる。
 三井被告が、暴力団関係者に尋ねられて、平成13年7月16日にその知人の前科調書を入手した時点で、暴力団関係者は三井被告の検事としての力を利用しようという意思を有していたために、それは収賄であると認定しています。
 それ以外に6月29日、7月5日、7月11日との3度の接待についても暴力団関係者は、検事としての力を利用したいという意思があったことを推認でき、その供応に応じた三井被告は、職務に係わることで接待を受けたと認め、判決は、検事にあるまじき行動だと、厳しく非難しています。
 ただし、主文にはかなり未決勾留日数が算入されています。」

くだんの文書は、宮崎学氏のHPにアップされている。

その要旨をまとめると次のようになる。

告発者は、「どの機関、部署など詳しいことは申し上げることはできませんが」、間違いなく現職として法曹界に身を置く立場にあるという。現在、管理職の役職にあり、法曹の道に入って数十年、間もなく定年を迎えるキャリアだと述べる。

告発のきっかけは、「法曹界で、信じがたい、空前絶後の事態が生じている」ことだという。
それは、三井環被告に対する判決が、事前に漏れ、政治的な力で歪められようとしていることである。

告発者は、1月のある日、上記のような判決内容を知ることができた。というのも、三井被告の裁判とは直接関係がある部署に属してはいないが、「そう骨を折ることもなく、判決内容や要旨が事前に入手できる」からだという。

その理由は、大阪地方裁判所の判事が、大阪高等裁判所の求めに応じて、事前に判決文を渡しているからである。極秘で大阪高等裁判所より最高裁判所に届けられている可能性もある。最高裁判所から法務省、最高検察庁にも流されていると推認できる。

かつて、別の重大裁判の時にも、同様のことがあった。関西エリアでは、「判決が二転、三転したK事件」などが有名な一例である。

大きな問題点が2つある。
この公訴事実については大阪地方裁判所の3人の判事が合議で審理しているが、大阪高等裁判所が大阪地方裁判所の3人の判事に、判決文の開示を要求したのは、判決文が書き終えられる前であった。これは重大な圧力である。それ以前にも、高裁より“もっと高度な位置”から政治的な圧力があった様子もある。

これは日本の司法制度の根幹を揺るがしかねない事件である。

裁判官は、独立して良心に従い、職責をまっとうすることで国民の信託、信頼にこたえることができる。しかし、事前に判決文の開示を要求された時点で、その圧力は重大なものであり、判決に予断や偏見が混在することは十分にありえる。

三井被告の初公判では、前任者の裁判長が合議を仕切っていた。彼は、「ぜひ、判決を書きたかった」と残念そうに申し述べ、次の任地に異動になった。
ここには、法務省に耳障りがいい判決を書けば、出世、エリートへの道が約束されているというサインが隠されている。今回の判事たちにも、そのようなささやきがあったと推察される。

告発者は、このような事態から鑑みて、今回の三井被告への判決は、自己保身と政治的なものだと結論付ける。

もう一点、重大な問題は、判決を事前に漏洩することそのものである。それは裁判官の独立性を否定することである。
独立した地位にある裁判官は、それがたとえ最高裁判所であっても、国家元首であっても、判決を開示してはならない。判決まで保秘することこそが、裁判官の職責、職務の重さ、尊さである。

重大性がある事件の場合、判決日の10日くらい前に最終的な判決文が完成する。告発者が目にしたのは、最終的なものが完成する前のものであり、実際の判決と少しは違ったものである可能性もあるが、主文、要旨は大きく変化することはない。

さらに続けて、この告発文書(?)は、とんでもない事実を暴露している。

裁判所にも、検察庁の調査活動費と性格を同一にする予算科目がある。その使途は、私的な遊興や享楽であるという。裁判官の給与で、新橋のA、銀座のX、大阪のYなどで豪遊したり、一部上場会社の経営者らが集うゴルフ場でプレーに興じるなどということができるはずがない、と告発者は述べる。そして、当然、法務省や検察庁もその存在を把握しており、「もし、検察庁や法務省の意図しない判決が言い渡された場合、裁判所がどのような仕打ちを受けるのか、誰でもがわかることです」と述べる。

以下、文書からそのまま引用する。

「私は三井被告のことも知りません。何ら利害関係もございません。共通点は法曹界に長期に渡り、身を置いたことだけでしょうか。三井被告のことを慮って、書いた文書ではございません。
訴えたいのは、このように、政治的、恣意的に判決が下されます。
司法組織の暗黙の了解の中で、談合を許してよいのでしょうか。

今の司法に自己の良心を有するような人物はほんのひとかけらです。
官僚的な上司のご機嫌をうかがい、それに則した判決を日々、租税乱造、乱発。
東京の本庁または、関東のAランクの裁判所で定年を迎える。
何ら、サラリーマンと変化はございません。
本来、司法・法務があるべき姿を語ろうとしても、無視される麻痺した恥ずべき、状況であります。
三井被告の判決がそれを、雄弁に物語っています。
このチャンスしかないと、ペンを握ったのであります。

本来なら、三井被告のように、敢然たる自己の意思と強固な正義感に燃えて私が自ら、公表すべき事態であることは十分に理解しております。
しかし、責任逃避するようで情けないのですが、諸般の事情の前に断念するしかないのです。仮にやったとしても、抹殺されることは歴然です。

このような状況を打開し、司法に本当の正義を、健常性の復活を求めるには政治の出番です。
河村先生におかれましては、司法、法務にも屈することがない、数少ない政治家のお一人でおられると、確信しております。
河村先生の御活躍と司法、法務の健常化の復活を祈念し、ペンを置きます。

司法・法務の正義と健常化を願う一人より」

この文書の評価、および大阪地裁の判決についての感想は、改めて述べることにする。

« 『懲戒除名 “非行”弁護士を撃て』 | Main | 判決と怪文書 »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30346/2770011

Listed below are links to weblogs that reference 三井環氏に実刑判決:

» 三井元高検部長に実刑:大阪地裁もケモノ道(内閣主導の国策裁判)? [虎視牛歩]
検察は最悪の事態を回避    起訴事実を否認したため325日間も勾留された三井環さん(以下、敬称略)は実刑となった。とんでもないことである。 &... [Read More]

» まじですか? [saya’sworld]
夏に里帰りを目指しているため、少しリハビリを、という事で、最近日本のニュースやら何やら時間を作って読むようにしてるんですが、日本は大変なことになっておりますな。... [Read More]

« 『懲戒除名 “非行”弁護士を撃て』 | Main | 判決と怪文書 »